太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

熊本県の阿蘇山で5月15日の早朝から火山性微動の振幅がやや大きくなっているとの事です。
阿蘇山では4月26日に噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引き下げたのですが、噴火警戒レベルが 2(火口周辺規制)に15日の午前中に再び引き上げられました。中岳第一火口から概ね 1km の範囲で、噴火に伴う大きな噴石及び火砕流が到達する可能性が指摘されています。
阿蘇は活発な活火山であり、過去に日本最大級の噴火(破局噴火と呼ばれています)を引き起こしています。本ブログではこの破局噴火についても解説したいとおもいます。

破局噴火は、地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火形式を表す用語です。地球規模の環境変化や大量絶滅の要因と考えられています。なお正式な学術用語としてはウルトラプリニー式噴火(英語: Ultra Plinian)と呼ばれています。この噴火では大規模なカルデラの形成を伴うことから、カルデラ噴火とも呼ばれています。
「破局噴火」という言葉は、もともと作家の石黒耀が2002年に発表した小説『死都日本』の中で使用した造語でした。この小説は石黒氏の処女作で、メフィスト賞、日本地質学会表彰、宮沢賢治賞奨励賞等を受賞されています。
作中の設定では、南九州の加久藤カルデラが約30万年ぶりの超巨大噴火を起こし、火山噴火予知連絡会はこれを「じょうご型カルデラ火山の破局“的”噴火」と発表したのですが、NHKの臨時報道番組のキャスターが「破局噴火」と間違えて連呼したという設定になっています。
この『死都日本』は現実の火山学者からも超巨大噴火をリアリティーを持って描いた作品と高く評価され、「破局噴火」は作中用語という枠を越えて、実際に起きた(そして将来起きるであろう)そのような大噴火を表す言葉として一部の火山学者やマスコミ報道で使われるようになりました。
特にこの小説を評価したのが、富士山研究で有名な小山真人さんです(現在静岡大学名誉教授)。2003年には「破局噴火」をテーマにしたシンポジウムも開催されました。

このシンポジウムの特集号は月刊地球2003年11月号として海洋出版から刊行されました。

巻頭言が小山先生によって書かれていますが、これは全文をウェブで読む事ができます。

ちなみに阿蘇山は最近では2021年10月20日に火砕流を伴う噴火が発生し、噴煙が最高で火口縁上 3,500m まで上がり、気象台は5段階ある噴火警戒レベルを2から3に引き上げた事がありました。
近年は観測網も充実し、火山性微動等のレベルも常時監視されていますが、噴火規模の正確な推定はなかなか困難であり、気象台や自治体が発表する情報に留意して観光を行って欲しいと思いま す。

気象庁では三宅島や浅間山等とともに、阿蘇山にも複数の監視カメラを設置しており、 全国の火山の映像を確認する事が可能です。
次の写真は阿蘇山・南阿蘇村の監視カメラの映像です。各地の火山で、このような映像を確認する事ができます。

時にはこのような映像にアクセスされ、生きている地球を実感して頂ければと思います。

(文責:長尾年恭)

(広報委員会)
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