2025年3月下旬、NPO法人富士山測候所を活用する会の副理事長であり、静岡県立大学グローバル地域センター自然災害研究部門の鴨川仁特任教授が、米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz, UCSC)を訪問しました。今回の訪問は、UCSCの物理学科教授であり、雷などに伴う高エネルギー現象の世界的研究者であるDavid M. Smith教授との共同研究体制をさらに深化させるために行われたものです。


 UCSCは緑豊かなキャンパス。リスや鳥がたくさん。

両教授の交流は、これまでにも富士山頂における雷起因の高エネルギー放射線観測に関する国際共同研究として実績を重ねてきました。2023年度の夏期観測でも、共同で設置された観測機器が重要な成果を挙げており、関連する成果の速報はすでに2023年度の成果報告会でも公表されています。
第17回成果報告会予稿集「なんと雷のリーダーからX線が!富士山頂ならではの雷起源放射線計測

今回の訪問では、まずこれまでの観測データをもとにした論文化の方向性について、Smith教授の研究グループと詳細な議論が行われました。富士山という特殊な環境下で取得された高エネルギー粒子の発生と雷活動の相関を扱うこれらのデータは、今後の雷研究に大きな知見を与えるものと期待されています。

また、2025年度の夏期富士山観測に向けた準備も今回の訪問の重要な目的の一つでした。Smith教授の研究室で開発された新しい高時間分解能の放射線測定器を鴨川特任教授が受け取り、日本への搬送と設置準備を進めることになりました。この装置は、雷活動時に発生する高エネルギーX線やガンマ線の詳細な時間構造を捉えることが可能で、2025年夏の観測において大きな役割を果たすことが期待されます。


 連日研究室メンバーも含めて議論

UCSCの美しいキャンパスと先進的な研究設備のもとで進められた今回の交流は、今後の国際共同観測と論文化に向けた確かな一歩となりました。なお、両者のこれまでの関係や富士山頂での測定の様子は、以下のブログでも紹介されています。
オフィシャルブログ太郎坊のそよ風「アメリカ地球物理学連合での発表に向けて」 


 復路の空港までは、カリフォルニアの海岸線を2人で移動

2025年夏、再び富士山頂に設置される観測機器が、どのような新たな知見をもたらすのか…その成果にご期待ください。

(広報委員会)
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