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山本正嘉先生(鹿屋体育大学)の発表「運動生理学から見た富士登山時の身体ストレスとその有効活用」

29日(日)は「富士山測候所を活用する会」主催の第5回成果報告会が、東大本郷の小柴ホールで行われました。

私は、このNPOの監事という役をいただいているのですが、もう一人の方にお任せしていて、私はほとんどめくら判だったのですが、去年、もう一人の方が辞めてしまわれたので、とっても心細く、後任を早く探してと言い続けていました。やっと後任が見つかって、この日顔合わせも兼ねて、上京したのでした。

成果発表会の前に、理事会があり、ここには、理事として橋本龍太郎さんの妻橋本久美子さんも参加されていて、成果報告会は、隣に並んで発表の合間におしゃべりを楽しみました。龍太郎さんは、日本山岳会の会員として、この富士山測候所については政治との架け橋をしてくださっていたようです。亡くなった後、地盤を引き継いだのは、二男さんですが、今は浪人中とのこと。

成果発表会は、小柴ホールがほとんど埋まるほどの参加者(100人以上)で、今までで最高です。発表が結構興味深くて、生活に直結するようなデータが、いろいろとありました。例えば、高山病というのは、酸素濃度の低下によって起こるのですが、十分な睡眠をとれば、改善されるのでは、というのが素人考えで、睡眠中は、もっと酸素濃度が低下してしまうという。だから、高山病については、直ちに降りるという改善策しかないというのでした。

福島原発の放射能が、富士山ではどうか、というのについては、福島からの放射能は、山頂では観察されなかったという。1300mあたりではほんのすこし、環境基準より低いCs-134が出ている。しかしこれは原発由来であることが確実な核種なので、低いところを輸送された証拠になるのではないかという。この点は三宅島の噴煙のSO2のときも、山頂よりは低いところを長野まで行ったので、大気化学的には面白いそうだ。静岡のお茶から検出されたというニュースについても、低いところだから被曝したということのようです。

一人の発表は、10分、そのあと、質疑があって、全部の持ち時間は15分。質問がどの発表に対しても必ずあるというところが、聴衆の意識の高さを表していると思いました。その質問というのが、結構、発表者と対等な議論になったりするのです。終わってから、懇親会があったのですが、その時に、司会者が「よく質問された方に発言していただきます」と言って、毎回のように質問をしていた、二人の方を指名しました。二人ともそれなりの方で、こういう時に、こんな指名の仕方をする、司会者はいいなと思いました。

私を乾杯の音頭に指名したのも、この司会者で、これもありがたかったのです。「雪深いにいがたの魚沼から来ました。監事とは名ばかりで何もできないのですが、乾杯の音頭なら取れるので、」ということができたのでした。ここで皆さんは笑ってくださり、「僕も新潟県出身です」と十日町の方が声をかけてくださったりしました。

富士山測候所を、夏の2か月間だけこのNPOが開いて、皆さんに貸し出して、これだけの研究ができていることを考えたら、こういうことにこそ、税金を投入して、行政が管理したらいいと思うのですが…、今のところ、気象庁も、文科省も行政はその気にならないようなのです。

☆ ☆ 黒岩秩子(ちづこ) ☆ ☆
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(注)黒岩監事のホームページのブログから転載させていただきました。