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富士山会の集いで参加者に渡された冊子の表紙。写真のキャプションには「1982年11月の交替登山」とあります(左)。「1981年4月測風塔の霧氷落とし作業」(右上)と「1982年2月厳冬期の登山」(右下)。いずれの写真からも富士山測候所の厳しい勤務・生活の一端をうかがい知ることができます。

一般にはあまり知られていませんが、富士山頂での通年気象観測を開始したのは1932年(昭和7年)ということです。今年(2012年)はこの年から数えてちょうど80年にあたります。

これを記念する関係者の集いが、12月8日御殿場市の「ホテル御殿場館21」で開かれ、世話人の一人として参加された元富士山測候所長の佐藤政博・監事から、レポートしていただきました。

「富士山測候所での厳しい勤務・生活を体験した(気象庁のOBと現職)職員が全国から70名余も参加し、無人化され特別地域気象観測所となった観測施設の現状報告を受けると共に、それぞれ山頂勤務時代を思い出して語らいあいました。

特に、自動化前の3時間毎の気象観測通報の体験、気象レーダーが設置され台風の砦として活躍した実績、一般登山者の救助等で測候所が果たしてきた役割、などなどを再認識するとともに、その陰で山頂勤務や登下山中に滑落事故等で犠牲となった職員がいることも忘れていけないことも改めて知らされました。

東京管区気象台業務課の成澤達也氏の「『富士山特別地域気象観測所』最近の話題」の話の後を受けて、富士山測候所を活用する会から上田紗也子氏(東京理科大)が「エアロゾルと雲」題して講演。富士山測候所が今は立派に研究に活用されていることを諸先輩に報告するとともに、NPO法人の活動、研究内容と成果を広報し、協力を訴えました。そのこともあり、参加者個人からカンパや賛助会員へ加入の意志を示された方もいました。また、最後に集いの会費の残額は全額NPOに寄付することを幹事から報告され、了承されました。」

同じく参加された土器屋理事も、「80年の歴史と皆様のご苦労の結晶として残っている測候所施設の一部を使わせていただいている有難さを、あらためて痛感した素晴らしい集いでした」とおっしゃっていました。また、会場に10冊用意した書籍「よみがえる富士山測候所2005-2011」(土器屋由紀子/佐々木一哉編著・成山堂書店出版)は、お陰さまで完売したそうです。

諸先輩の皆さまの暖かいご支援に、この場をお借りしまして感謝申し上げます。

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成澤達也氏(東京管区気象台業務課・課長補佐)からは「『富士山特別地域気象観測所最近の話題」のご講演


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上田紗也子氏(東京理科大学)の講演では富士山測候所が今は立派に研究に活用されていることを諸先輩に報告

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元富士山測候所職員の勝又實枝子さんと上田さん

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芹沢早苗・富士山会会長と立平良三・元気象庁長官


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参加者全員で記念撮影。遠く沖縄や愛媛から参加された方々もおられました。    (+)クリックすると拡大してご覧になれます。 





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