第6回成果報告会講演予稿集。おもて表紙、うら表紙とも写真はいずれも池田敦氏(筑波大)が撮影。
第6回目となった成果報告会は、一般財団法人新技術振興渡辺記念会、日本郵便株式会社、三井物産株式会社の各助成団体および東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門の後援を得て、1月27日(日)東京大学小柴ホールで開催されました。
発表件数は28件(口頭発表11件、ポスター発表17件)。分野別では大気化学(11件)を筆頭に、大気電気(4件)、放射線(3件)、高所医学(3件)、教育(2件)、永久凍土、天文学、雷害対策、設営(各1件)とバラエティに富んでおり、改めて富士山測候所の活用分野の拡がりを実感させてくれました。
参加者は報道関係者を含んで91名。初めて参加いただいた方からは、「学会のMLで初めて知ったが、もっと早くわかっていれば毎年参加していたのに・・・」との声もありました。せっかくの研究成果の発表を知っていただくために、まだまだ告知方法を改善する余地がありそうです。
なお、成果報告会講演予稿集(A4判54ページ)は残部数があります。ご希望の方には送付しますので、事務局までご連絡ください。
O-03富士山頂短期滞在次の安静および運動の動脈系血行動態に及ぼす影響に関する研究(岡崎和伸・大阪市市立大)。脳への血流量を超音波ドプラー法で測定しAMS(急性高山病)を引き起こす原因を調べた。
O-04富士山の永久凍土再発見と今後の研究展望(筑波大学池田敦氏)。
富士山の永久凍土の現状を解明すべく地温変化をモニタリングしている。2年前に設置した10m深観測孔は初年度は落雷でデータが欠落したものの、2年目になって通年の地温変動を示すデータを回収することができた。
P-7富士山太郎坊と山頂におけるエアロゾル粒径分布の変動および霧による影響(堀 周・東京理科大)
P-8富士山斜面の雲上下で採取した海塩粒子:雲過程による粒子組成への影響(上田紗也子・東京理科大)
大気中のエアロゾル粒子を富士山頂、山麓の太郎坊、そして斜面を下りながらと富士山をまるごと使って観測した。
P-11富士山山頂における雷雲発生時における高エネルギー放射線の観測(左:片倉翔・東京学芸大)
P-12富士山山頂における高高度放電観測(右:鈴木裕子・東京学芸大)
雷活動が盛んな富士山頂で高エネルギー放射線発生のメカニズムや発光現象の解明のために観測を行なっている。お二人は大変お忙しい合間を縫って、朝からボランティアとして会場設営を手伝ってくれました。
P-18富士山頂実験室(佐藤元・気象実験クラブ)。
ポスター討論には、気象実験クラブのメンバーのほか、気象庁OBの姿も。いわき市の会場と結んでの実験は残念ながら交信中に回線断となって子どもたちを失望させたが、ことしは再度チャレンジの予定。
O-02理科準備室へようこそ-富士山頂での教材開発(古田豊・立教新座中学高校)。
山頂で行った盛り沢山の実験の中から一部を紹介。初参加でしたが理科の学びの場として富士山測候所は貴重なフィールドでした。
ポスター会場でも高校生が、富士山頂で行った実験を再現してくれました。タケコプターは新田次郎の小説「富士山頂」にでてくる測候所建設の時のヘリコプターによる建築機材の運搬を実験で試したものということ。
P-14富士山頂でのスカイコンディション調査(坂本強・日本スペースガード協会)
初めて参加した夏期観測で、晴天率や大気透過率も高い富士山は天文観測サイトとして適していることを確認できた。2013年は1ヶ月以上にわたりスカイモニターを設置し、昨年のデータと合わせより長期のデータから晴天率、大気透過率などを測定すると同時に、流星などの突発天体をも検出する予定。
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