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鼎談「山の雷からビジネスチャンスを探る」。左から妹尾氏(モデレータ)、龍氏、および鴨川氏による楽しいトーク。

3月27日(水)。
年度末も押し迫ったこの日、雷害リスク低減コンソーシアム主催のセミナーが秋葉原で開催され、当NPO法人の理事でもある鴨川先生(東京学芸大)が講演されるので聴講に。

雷害リスク低減コンソーシアムというのは、手元のパンフレットによれば、情報システムを取り巻くリスクの中でも雷害によってもたらされるリスクを「基盤リスク」とも位置づけ、そのリスクを低減させるための産官学公民の連携活動、啓発普及活動、国・自治体への低減活動などを行なっているという。本日のセミナーはこの啓発普及活動の一環として開催された「一般向けのオープンセミナー」である。会場には防雷企業などの関係者も多いようだ。

鴨川先生の講演は「雷のサイエンスとよもやま話~球電・地震発光から富士山頂より迫る最新雷科学まで~」。タイトルが示すとおり、雷に関連したてんこ盛りの内容。豊富な映像を駆使した先生のプレゼンは快調なテンポで、グイグイと引き込まれて行く。

第一話は「球電(きゅうでん)」。この聞きなれない言葉は「火の玉」のことだそうである。その昔はリンが燃えたものと言われていたが、現在はプラズマ現象で説明がつくという.。第二話は「地震発光」。大地震の発生したときに空が明るく光るという現象だが、GoogleEarth と YouTubeだけで地球の裏側のペルーでの発光源を徹底的に調べ、人工だったと結論づけたという。そして、第三話は雲より高い富士山測候所での雷の研究。格式張った学術研究の発表会などでは決して聴くことができない興味深いエピソードをふんだんに交えた肩のこらない講演であった。

プログラムの最後には鼎談が組まれており、モデレータの妹尾堅一郎氏によるこれまた実に軽妙な進行で、講演された龍先生(島根県立三瓶自然館館長)と鴨川先生から上手く話を引き出して、先の講演の内容をさらに深め補完していただいた。特にGoogleEarthとYouTubeを使って結論を導いたことについては、新しいサイエンスの進め方であり、教育のやり方も変わるのでは、という妹尾氏の指摘には納得。

鼎談の最後に、モデレータ妹尾氏が「富士山カンソクショのなんとかというのは?」と鴨川先生に話題を振ったところ、鴨川先生も待っていましたとばかりに、会の生い立ちから、現在山頂で行なっている大気化学のPM2.5の観測や高所医学の研究まで、いろいろなことができるので是非参加して貰いたい、と富士山測候所を活用する会をバッチリPRしてくださった。

富士山測候所を活用する会が行なっている成果報告会は、学会発表の延長線上にあるようなもので自分のような素人にはまったく理解を超える内容が多い。一般への普及啓蒙という意味では、この日のような遊び心のあるサイエンスの場も必要なのではと思った次第である。

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鴨川先生の講演風景。会場には防雷企業の関係者も多い。