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 成果報告会にテレビ局の取材が入ったのは初めてのこと

3月25日(日)、富士山測候所を活用する会と東京理科大学東京理科大学総合研究院大気科学研究部門の共催で第11回成果報告会が開催された。桜が満開となった年度末最後の日曜日、そして会場がややわかりにくかったこともあったせいか、 参加者は助成団体、報道関係を含め77人にとどまったが、数えてみると初参加者が30人以上を占め、新たな息吹を感じさせた。会報『 芙蓉の新風』でご紹介した野中勝氏(野中到・千代子のお孫さん)もかけつけて下さった。

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会場となった神楽坂にある東京理科大学の森戸記念館。この界隈によくある隠れ家のように路地の引っ込んだ所にあるので、初めての人にはわかりにくい。ストリートビューで確認して来たという方もいた。

発表は35件(口頭発表15件、ポスター発表20件)、研究機関や大学の研究者のほか、学生を対象とした公募で選ばれ参加した大学生、先生と一緒に研究にあたった高校生なども発表。研究対象も大気化学と雷・大気電気の2大グループを始め、医学、教育、防災、企業の製品実証実験など実にバラエティに富んだものとなり、改めて富士山測候所活用の裾野の広さを感じさせた。

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セッションAの座長小林宏・山梨大学准教授と発表者の大河内博・早稲田大学教授

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 「通信機能付き簡易モニタリング機器の実証実験」について発表する遠藤周・東京大学学生(学生公募)


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 「富士山麓太郎坊におけるエアロゾル数濃度の変動要因」について発表する越田勇気・海城高校生 左端は座長の皆巳幸也・石川県立大准教授

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「理科準備室へようこそ」ー富士山頂での教材開発VIー を発表する古田豊教諭と立教新座高校観測部の面々 

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登山者に持たせたビーコンでその行動をリアルタイムで把握(田中義郎・富士山チャレンジ)

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第2セッションの最後に、学術科学委員長で今回の成果報告会実行委員長である鴨川仁(東京学芸大学准教授)が2017年度夏期観測を総括。①大気科学と 雷/大気電気(2大利用グループ)のノウハウ、分野横断型研究や萌芽的な研究への展開、②登山医学グループの参加数再増加、③低消費電力のセンサー/ロガーを活用し第2次越冬観測ブーム、④教育成果として学生公募や高校生の参加、高大連携プロジェクト、⑤火山噴火防災に資する研究、⑥企業の製品実証実験、などの成果を挙げた。

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 研究成果を総括する実行委員長の鴨川仁・東京学芸大学准教授

今年の夏期観測に向けては、すでに第1次公募は終わり、来週4月2日から第2次公募学生を対象とする学生公募がはじまる。また、今年の夏からはこれまでは一部のグループでしか利用をしてこなかった中腹にある太郎坊基地(標高1200㍍)も、新たな研究拠点として積極的に研究利用に供することになっている。

これから始まる第2次公募で、山頂と麓の太郎坊も含めて富士山全体を研究の場として様々な研究でさらに有効に活用されることを願っている。

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 懇親会