太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2018年03月

FMヨコハマの「YES! For You」は、横浜市の温暖化対策に関わる啓発事業として、毎回、様々な環境キーワードをもとに、多彩なゲストでお送りしている番組です。環境未来都市・横浜から「素敵な生活」を実現するための、ヒントを発信していきます。

横浜育ちで、子供のころからFMヨコハマの大ファンだった鴨川先生が、この番組の中でパーソナリティーMITSUMI(ミツミ)さんの質問に答えて、富士山観測などについてノリノリで楽しく語ります。


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2017年7月にもこの番組で「富士山測候所の活用」について土器屋が話しましたが、今回は雷直近観測など防災を含めた「自然災害に挑む先端科学」の話題です。地球温暖化防止との関係では全球の雷活動と全地球平均気温の相関に話が及んでいます。

時間のある方はお聞き逃しの無いように!!

なお、Radikoのアプリでは1週間番組が保存されているとのことです。 (広報)

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MITSUMIさんのサインです。よく読むと”MITSUMIさんがDJ MASASHIを認定(!?)”



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 成果報告会にテレビ局の取材が入ったのは初めてのこと

3月25日(日)、富士山測候所を活用する会と東京理科大学東京理科大学総合研究院大気科学研究部門の共催で第11回成果報告会が開催された。桜が満開となった年度末最後の日曜日、そして会場がややわかりにくかったこともあったせいか、 参加者は助成団体、報道関係を含め77人にとどまったが、数えてみると初参加者が30人以上を占め、新たな息吹を感じさせた。会報『 芙蓉の新風』でご紹介した野中勝氏(野中到・千代子のお孫さん)もかけつけて下さった。

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会場となった神楽坂にある東京理科大学の森戸記念館。この界隈によくある隠れ家のように路地の引っ込んだ所にあるので、初めての人にはわかりにくい。ストリートビューで確認して来たという方もいた。

発表は35件(口頭発表15件、ポスター発表20件)、研究機関や大学の研究者のほか、学生を対象とした公募で選ばれ参加した大学生、先生と一緒に研究にあたった高校生なども発表。研究対象も大気化学と雷・大気電気の2大グループを始め、医学、教育、防災、企業の製品実証実験など実にバラエティに富んだものとなり、改めて富士山測候所活用の裾野の広さを感じさせた。

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セッションAの座長小林宏・山梨大学准教授と発表者の大河内博・早稲田大学教授

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 「通信機能付き簡易モニタリング機器の実証実験」について発表する遠藤周・東京大学学生(学生公募)


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 「富士山麓太郎坊におけるエアロゾル数濃度の変動要因」について発表する越田勇気・海城高校生 左端は座長の皆巳幸也・石川県立大准教授

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「理科準備室へようこそ」ー富士山頂での教材開発VIー を発表する古田豊教諭と立教新座高校観測部の面々 

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登山者に持たせたビーコンでその行動をリアルタイムで把握(田中義郎・富士山チャレンジ)

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第2セッションの最後に、学術科学委員長で今回の成果報告会実行委員長である鴨川仁(東京学芸大学准教授)が2017年度夏期観測を総括。①大気科学と 雷/大気電気(2大利用グループ)のノウハウ、分野横断型研究や萌芽的な研究への展開、②登山医学グループの参加数再増加、③低消費電力のセンサー/ロガーを活用し第2次越冬観測ブーム、④教育成果として学生公募や高校生の参加、高大連携プロジェクト、⑤火山噴火防災に資する研究、⑥企業の製品実証実験、などの成果を挙げた。

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 研究成果を総括する実行委員長の鴨川仁・東京学芸大学准教授

今年の夏期観測に向けては、すでに第1次公募は終わり、来週4月2日から第2次公募学生を対象とする学生公募がはじまる。また、今年の夏からはこれまでは一部のグループでしか利用をしてこなかった中腹にある太郎坊基地(標高1200㍍)も、新たな研究拠点として積極的に研究利用に供することになっている。

これから始まる第2次公募で、山頂と麓の太郎坊も含めて富士山全体を研究の場として様々な研究でさらに有効に活用されることを願っている。

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 懇親会

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ホームページの「バーチャル博物館」に新たに「野中到・千代子資料館」を追加


明治28年、富士山測候所のさきがけとなる山頂での冬季観測を創めた、野中到・千代子ご夫妻の名前は、同測候所に関心を持つ方ならご存知のことと思います。昨年12月、不思議なご縁でご夫妻のお孫様である野中勝様と蔭山幸子様のお宅を訪問してお会いすることができました。

このときに貴重な証言と資料に接する機会をいただきましたが、このことはNPOの会報誌『芙蓉の新風』Vol.12(2018.1.31発行)に『富士山測候所の歴史を訪ねて』と題して、紹介しました。この記事に関してはいくつかの感想が寄せられましたが、その中で、野中勝様から下記のメールには感動しました。

『芙蓉の新風』届きました。 薄いのに読みごたえがあります。 その中で、逗子の事でこんなにスペースを割いて頂き、恐縮しています。

そこにも書かれているように、資料の整理と保管方法に問題があります。 頭の痛いところです。巻末に資料の公開の希望がありますが、全く異存はありません。 この会報には去年の、実に多岐にわたったプロジェクトが掲載されていますが、こうして拝見すると改めてあの場での活動の重要性が思われます。

面白かったのは、去年御殿場で行われたACPM2017の記事です。 このイベントの事は、会報を拝見するまで申し訳なくも知りませんでしたが、実に熱気あふれ、また臨場感のある記事に思わず読み入ってしまいました。 又、桜島の火山ガスを富士山頂で検出されたというのも驚きでした。

この会報を手にして最も感じたことは、測候所の活用に対する情熱が10年たっても全く衰えていないどころか、ますます盛り上がっているという事でした。 貴重なものをお送り頂き有難うございました。


ACPM2017やNPOのメンバーの活動に対する温かい評価にもっと頑張らなければと思っています。また、「資料公開の希望がありますが、全く異存はありません」とのことで、現在広報委員会と事務局で検討中の「バーチャル博物館」の「野中到・千代子資料館」構想に弾みが付きそうです。

バーチャル博物館」はホームページのコンテンツのひとつで、富士山測候所に関する歴史、関連資料などを展示しています。ここに「野中到・千代子資料館」のコーナーを新設し、野中到・千代子に関する資料を収集・展示しようというものです。

当面(関係者の許可を得て)入力したものは下記のとおりです。「気象学会の女性会員第一号が野中千代子さんだったかどうか!?」などに興味を持たれた方はぜひご覧ください。

今後、資料を追加してゆきたいと考えておりますので、ご協力よろしくお願いいたします。


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バーチャル博物館の「野中到・千代子資料館」


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「富士山の山頂で越境大気汚染を観測するアースドクター」創造理工学部・環境資源工学科・大河内博教授

朝日新聞社版AERAムック2018年2月26日
「早大理工・科学が未来を創る」特集号のp70-72に
「富士山の山頂で越境大気汚染を観測するアースドクター」として創造理工学部・環境資源工学科・大河内博教授が大きく載っています。

富士山を背に太郎坊と思われる山麓の薄のなかで、研究室メンバーが作成したポロシャツ姿の大河内先生が、「大気学者ラブロックが提唱したガイア理論に基づく様々な学問領域を統合した地球生理学の構築が夢」を熱く語ります。

「中国、インドなどのアジア諸国の急速な経済成長に伴って深刻化している地球規模の大気汚染を富士山頂で観測する重要性」「自由対流圏を地球規模で移動する大気汚染物質」の模式図や観測の実態を示し、「環境リスクを予測して未然に防ぐ対策を」提案しています。

太郎坊の通年観測や、昨年行われた国際集会ACPM2017への言及もあり、現在、富士山で行われている研究が大変わかり易く記述されています。  残り少ないようなので、書店に並んでいるうちに是非多くの方が購読されることをお勧めします。(広報)

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 朝日新聞社版AERAムック「早大理工・科学が未来を創る」特集号

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