太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2019年12月19日

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   東京理科大ポルタ7階で行われたデータ検討会

東京理科大学の総合研究院大気科学研究部門と
当NPOが主催する「富士山大気観測2019データ検討会」が
12月14日(土)に神楽坂のPORTA会議室で行われました。 

このデータ検討会は、NPOが富士山頂の夏季観測を始めて以来の年末の恒例行事になっています。
初期の頃には「夏の間に苦労してとりためたデータを整理して、卒論、修論などにまとめる一歩手前の検討段階でお互いに議論しあう」のが主要な目的、ということでした。

当時気象研究所の五十嵐先生(現京都大学)が科研費基盤研究Aの一つの行事としてスタートし、
理科大の三浦先生の山岳大気科学研究部門(当時)によって引き継がれました。

最近では長年の蓄積の上にまとまった内容が濃い発表も目立つようになって、
非常に聴きごたえのある講演も増えています。

早稲田大・大河内教授は、徳島大・竹内教授と熊本大・戸田教授の研究を併せて紹介されましたが、
今後各々の学会で発表される内容のものでした。

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2019データ検討会プログラム

データ討論会の参加者は38名。発表者はベテランの先生から大学4年生まで、幅広い研究者で構成されていました。1人の持ち時間は、発表と質疑応答合わせて15分。13:00から始まり5時間開催されました。

「5時間も?・・・長そう」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、なんと予定では45分間取る予定のコーヒーブレイクも、30分に時間を削ってまで行っていました!!  白熱した “アッ”という間の充実した討論会でした。

その討論会の内容をホンの少しだけお伝えします。
2019年7月23日に発生した停電(御殿場落雷による山頂の停電)については、こんなやりとりがありました。

この停電の直後にCO2濃度が急増したことを首都大の辰巳さんが話すと、座長の帝京科学大の和田先生から「実はNOy濃度もこの頃上がってます」とコメント。早稲田大の山脇さんも「VOCs濃度も上がっている」・・・と、次々に声が上がります。

最終的に本件については、この日の不安定な気象条件のなかで「何か」あったのだろう、これから検討しようということになりました。富士山を足場にいろいろな角度から観測している本NPOならではの議論の特色です。

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 データ討論会の様子、会場は活気で溢れていました

最後に、理科大の三浦先生が総合討論で、今年の夏の特徴を関係者の意見を聞きながら
まとめてゆきました。
・3号庁舎のインレットのコンタミ?ポータブルセンサーとの比較(8/9)
 感度が低い
・7/23停電(雷活動)以後、化学成分濃度の日較差が大きい
・7/26  ゾンデ。ドローン
   山頂  7時、11時 新粒子生成(金沢大、理大とも)
   太郎坊
         光学的厚さ 太郎坊なし、山頂
・経年変化
   粒子濃度 
   雲水 
       大気中VOCs
   

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三浦先生が、入力されるたびに会場から声が上がり、話題についての花が咲きました。
データ討論会の最後の総合討論は、富士山頂での各研究のデータを照らし合わせて、どのような事象が起こっているのか話ができる貴重な時間。

富士山頂の測候所という同じフィールドにおいて様々な分野研究がなされ、そのデータを研究者同士で共有、意見交換できるという点がとても印象深いものでした。学会の発表とは異なり、まさにこのデータ討論会の醍醐味だと思いました。

富士山測候所は、研究環境だけでなく、研究者のヒト同士の繋がりを広げてくれる場所でもあるのだ、と今回のデータ討論会に参加させていただき発見した次第です。

無題
記念写真をパシャリ!

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もちろん検討会の締めくくりは懇親会!!

(リポーター:ボランティアスタッフ 小林千夏) 

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