もう昨年末の話になってしまいましたが、化学分野で大きい会議が昨年12月行われ、大河内副理事長の研究室の皆さんの大活躍に関するご報告です。
Pacifichem(Pacific Basin Chemical Societies)は1984年に創設され、ほぼ5年に1回、ハワイで開催されています。2020年の主催は日本化学会でしたが、コロナ禍で延期になっていましたが、2021年12月16-21日にオンライン開催になりました。協力学会はアメリカ化学会ほか7団体です。
- American Chemical Society (ACS)
- Canadian Society for Chemistry (CSC)
- Chemical Society of Japan (CSJ)*
- Chinese Chemical Society (CCS)
- Korean Chemical Society (KCS)
- New Zealand Institute of Chemistry (NZIC)
- Royal Australian Chemical Institute (RACI)
*The Chemical Society of Japan (CSJ) is the host society for the 2021 Congress.
Pacifichem2021では大河内副理事長の研究室からは11件の研究発表があり、
その中の5件は下記に示す富士山関係です。
Long-term trend of Summer Cloud Water Chemistryat the summit of Mt. Fuji in the Free Troposphere
Mitsuo Dairiki, Hiroshi Okochi, Megumi Nakamura, Hiroshi Hayami, Naoya Katsumi, Yukiya Minami, Shin-ichi Yonemochi, Kazuhiko Miura, Shungo Kato, Ryuichi Wada, Masaki Takeuchi, Kei Toda, Yukiko Dokiya, Shiro Hatakeyama
Long-term trend of acidic gases and water-soluble aerosol components in the upperatmospheric boundary layer and in the free troposphere on Mt. Fuji (1)
Takamasa Yada, Hiroshi Okochi, Hiroshi Hayami, Naoya Katsumi, Yukiya Minami, Hiroshi Kobayashi, Kazuhiko Miura, Shungo Kato, Ryuichi Wada, Masaki Takeuchi, Kei Toda, Shin-ichi Yonemochi, Yukiko Dokiya, Shiro Hatakeyama
1980年代後半から日本化学会の会員数は再び増加に転じ、2010年以降も30,000人以上を維持していることがわかります。「ものづくり」に必要な化学的な知識は、その「もの」による環境問題の解決にも必要であるからです。
今回のPaciifichme2021は第8回目の開催になります。ホスト学会である「日本化学会」が掲げたスローガンは「未来への造像的な展望」です。
大河内副理事長は1995年以来5年毎の本大会に6回目の参加とのことですが、いまやメインストリームになり始めている環境化学の分野での大量に発表するなどの国際貢献が続いており、これからの活躍が楽しみです。
少し蛇足を追加すると、1984年の会議の後に隣のハワイ島へ足を延ばし、かなり苦労して、古い有事などのつてを頼ってマウナロア観測所の見学をしたことを思い出しています。当時、二酸化炭素の測定は世界的に知られていましたが、観測所に常駐者はいなくて、海岸に近いHiroの町から週2回、用紙交換などに通っている車に便乗させてもらって見学しました。施設も木造の質素なもので「富士山測候所の方が立派ですよ」と言われたことを思い出します。
マウナロア観測所全景(1984)
マウナロア観測所の全景(2018, R.C.Schnell )
あれから、25年、多くの建物やタワーが加わり、観測項目も増え充実した観測所になっていることがわかります。本NPOの「応援団」でもある Russ Schnell 博士と連絡がとれる今なら、ハワイ島まで行けば若い学生さんたちに世界のトップ山岳施設を見学していただくチャンスがあったに違いないと思うと、オンライン開催が少し残念ですね。
(広報委員会)
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
Long-term trend of acidic gases and water-soluble aerosol components in the upper
Takamasa Yada, Hiroshi Okochi, Hiroshi Hayami, Naoya Katsumi, Yukiya Minami, Hiroshi Kobayashi, Kazuhiko Miura, Shungo Kato, Ryuichi Wada, Masaki Takeuchi, Kei Toda, Shin-ichi Yonemochi, Yukiko Dokiya, Shiro Hatakeyama
The formation mechanism of local heavy rainfall in mountainous regions (LHRM) in Japan from the perspective of atmospheric chemistry (1): Analysis of the long-term trend of LHRM
Sumika YONETO,Hiroshi OKOCHI, Tomoki Kajikawa, Manabu Igawa, Takanori Iwasaki, Yoshiyuki Takahashi, Hideyuki Shimizu, Kei Toda, Hiroyuki Sase, Masahide Aikawa, Kotaro Murata
Establishment of a standard protocol for airborne microplastics and its application to the particulate matters in urban and free tropospheric atmospheres
Norihisa Yoshida, Hiroshi Okochi, Somei Yanagitani, Hiroshi Hayami, Yasuhiro Niida, Naoki Umezawa, Eishi Iso, Tetsusaburo Miura, Erika Hiraya, Kenichi Akao, Mamoru Yamamoto, Yohei Itaya, Hiroko Ogata, Naoya Katsumi, Akane Miyazaki, Hideshige Takada
Atmosphere-forest interaction of airborne microplastics (AMPs) (1) : Application of O-PTIR to the identification of AMPs in the forest area
Heli Zhao, Hiroshi Okochi, Norihisa Yoshida, Hiroshi Hayami, Masaki Takeuchi, Atsuyuki Sorimachi, Yusuke Fujii, Norimichi Takenaka, Naoya Katsumi, Akane Miyazaki, Tomoyuki Hori, Hiroko Ogata, Youhei Itaya, Hanae Kobayashi, Norio Urayama, Yasuhiro Niida, Hideshige Takada
1984年の最初の大会(PacChem1984)はハワイ・オワフ島ホノルルで行われました。クリスマス直前の閑散期に楽園であるハワイで集まって、英気を養う?・・・という企画をアメリカ化学会と日本化学会が合意した・・・という話を聞いたような気がします。当時、公害問題などが顕在化し、学生が選択する将来の進路として「化学」の人気が下降線をたどり始めていました。この学会で撒かれていたスローガンの一つを下記に示しますが、”Chemists have solution・・・" 「solution」を「溶液」と「解答」にかけて、「化学」によって解決を図ろうというのは、70年代と比べて元気をなくし始めていた「化学」へのエールだったのでしょうか? 1984年のノーベル化学賞は、 R.B.メリフィールド(米)「固相反応によるペプチドの合成」(廣田襄『現代科学史』、2013)、依然として「ものづくり」系ですが、オゾン層の破壊が問題になり始めており、この大会でも小さいながら「環境」のセッションがすでにありました。
Sumika YONETO,Hiroshi OKOCHI, Tomoki Kajikawa, Manabu Igawa, Takanori Iwasaki, Yoshiyuki Takahashi, Hideyuki Shimizu, Kei Toda, Hiroyuki Sase, Masahide Aikawa, Kotaro Murata
Establishment of a standard protocol for airborne microplastics and its application to the particulate matters in urban and free tropospheric atmospheres
Norihisa Yoshida, Hiroshi Okochi, Somei Yanagitani, Hiroshi Hayami, Yasuhiro Niida, Naoki Umezawa, Eishi Iso, Tetsusaburo Miura, Erika Hiraya, Kenichi Akao, Mamoru Yamamoto, Yohei Itaya, Hiroko Ogata, Naoya Katsumi, Akane Miyazaki, Hideshige Takada
Atmosphere-forest interaction of airborne microplastics (AMPs) (1) : Application of O-PTIR to the identification of AMPs in the forest area
Heli Zhao, Hiroshi Okochi, Norihisa Yoshida, Hiroshi Hayami, Masaki Takeuchi, Atsuyuki Sorimachi, Yusuke Fujii, Norimichi Takenaka, Naoya Katsumi, Akane Miyazaki, Tomoyuki Hori, Hiroko Ogata, Youhei Itaya, Hanae Kobayashi, Norio Urayama, Yasuhiro Niida, Hideshige Takada
1984年の最初の大会(PacChem1984)はハワイ・オワフ島ホノルルで行われました。クリスマス直前の閑散期に楽園であるハワイで集まって、英気を養う?・・・という企画をアメリカ化学会と日本化学会が合意した・・・という話を聞いたような気がします。当時、公害問題などが顕在化し、学生が選択する将来の進路として「化学」の人気が下降線をたどり始めていました。この学会で撒かれていたスローガンの一つを下記に示しますが、”Chemists have solution・・・" 「solution」を「溶液」と「解答」にかけて、「化学」によって解決を図ろうというのは、70年代と比べて元気をなくし始めていた「化学」へのエールだったのでしょうか? 1984年のノーベル化学賞は、 R.B.メリフィールド(米)「固相反応によるペプチドの合成」(廣田襄『現代科学史』、2013)、依然として「ものづくり」系ですが、オゾン層の破壊が問題になり始めており、この大会でも小さいながら「環境」のセッションがすでにありました。
1980年代後半から日本化学会の会員数は再び増加に転じ、2010年以降も30,000人以上を維持していることがわかります。「ものづくり」に必要な化学的な知識は、その「もの」による環境問題の解決にも必要であるからです。
今回のPaciifichme2021は第8回目の開催になります。ホスト学会である「日本化学会」が掲げたスローガンは「未来への造像的な展望」です。
大河内副理事長は1995年以来5年毎の本大会に6回目の参加とのことですが、いまやメインストリームになり始めている環境化学の分野での大量に発表するなどの国際貢献が続いており、これからの活躍が楽しみです。
少し蛇足を追加すると、1984年の会議の後に隣のハワイ島へ足を延ばし、かなり苦労して、古い有事などのつてを頼ってマウナロア観測所の見学をしたことを思い出しています。当時、二酸化炭素の測定は世界的に知られていましたが、観測所に常駐者はいなくて、海岸に近いHiroの町から週2回、用紙交換などに通っている車に便乗させてもらって見学しました。施設も木造の質素なもので「富士山測候所の方が立派ですよ」と言われたことを思い出します。
マウナロア観測所全景(1984)
マウナロア観測所の全景(2018, R.C.Schnell )
あれから、25年、多くの建物やタワーが加わり、観測項目も増え充実した観測所になっていることがわかります。本NPOの「応援団」でもある Russ Schnell 博士と連絡がとれる今なら、ハワイ島まで行けば若い学生さんたちに世界のトップ山岳施設を見学していただくチャンスがあったに違いないと思うと、オンライン開催が少し残念ですね。
(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。
また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かかるのです。
しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いたします。
本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)のです。
ご寄付に関しては、控除もありますので などでご確認ください。
ご寄付に関しては、控除もありますので などでご確認ください。