太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2022年01月

Pacificem
もう昨年末の話になってしまいましたが、化学分野で大きい会議が昨年12月行われ、大河内副理事長の研究室の皆さんの大活躍に関するご報告です。
 Pacifichem(Pacific Basin Chemical Societies)は1984年に創設され、ほぼ5年に1回、ハワイで開催されています。2020年の主催は日本化学会でしたが、コロナ禍で延期になっていましたが、2021年12月16-21日にオンライン開催になりました。協力学会はアメリカ化学会ほか7団体です。

*The Chemical Society of Japan (CSJ) is the host society for the 2021 Congress.


Pacifichem2021では大河内副理事長の研究室からは11件の研究発表があり、
その中の5件は下記に示す富士山関係です。

Long-term trend of Summer Cloud Water Chemistryat the summit of Mt. Fuji in the Free Troposphere
Mitsuo Dairiki, Hiroshi Okochi, Megumi Nakamura, Hiroshi Hayami, Naoya Katsumi, Yukiya Minami, Shin-ichi Yonemochi, Kazuhiko Miura, Shungo Kato, Ryuichi Wada, Masaki Takeuchi, Kei Toda, Yukiko Dokiya, Shiro Hatakeyama

Long-term trend of acidic gases and water-soluble aerosol components in the upper atmospheric boundary layer and in the free troposphere on Mt. Fuji (1)
Takamasa Yada, Hiroshi Okochi, Hiroshi Hayami, Naoya Katsumi, Yukiya Minami, Hiroshi Kobayashi, Kazuhiko Miura, Shungo Kato, Ryuichi Wada, Masaki Takeuchi, Kei Toda, Shin-ichi Yonemochi, Yukiko Dokiya, Shiro Hatakeyama

The formation mechanism of local heavy rainfall in mountainous regions (LHRM) in Japan from the perspective of atmospheric chemistry (1): Analysis of the long-term trend of LHRM
Sumika YONETO,Hiroshi OKOCHI, Tomoki Kajikawa, Manabu Igawa, Takanori Iwasaki, Yoshiyuki Takahashi, Hideyuki Shimizu, Kei Toda, Hiroyuki Sase, Masahide Aikawa, Kotaro Murata

Establishment of a standard protocol for airborne microplastics and its application to the particulate matters in urban and free tropospheric atmospheres
Norihisa Yoshida, Hiroshi Okochi, Somei Yanagitani, Hiroshi Hayami, Yasuhiro Niida, Naoki Umezawa, Eishi Iso, Tetsusaburo Miura, Erika Hiraya, Kenichi Akao, Mamoru Yamamoto, Yohei Itaya, Hiroko Ogata, Naoya Katsumi, Akane Miyazaki, Hideshige Takada

Atmosphere-forest interaction of airborne microplastics (AMPs) (1) : Application of O-PTIR to the identification of AMPs in the forest area
Heli Zhao, Hiroshi Okochi, Norihisa Yoshida, Hiroshi Hayami, Masaki Takeuchi, Atsuyuki Sorimachi, Yusuke Fujii, Norimichi Takenaka, Naoya Katsumi, Akane Miyazaki, Tomoyuki Hori, Hiroko Ogata, Youhei Itaya, Hanae Kobayashi, Norio Urayama, Yasuhiro Niida, Hideshige Takada


 1984年の最初の大会(PacChem1984)はハワイ・オワフ島ホノルルで行われました。クリスマス直前の閑散期に楽園であるハワイで集まって、英気を養う?・・・という企画をアメリカ化学会と日本化学会が合意した・・・という話を聞いたような気がします。当時、公害問題などが顕在化し、学生が選択する将来の進路として「化学」の人気が下降線をたどり始めていました。この学会で撒かれていたスローガンの一つを下記に示しますが、”Chemists have solution・・・" 「solution」を「溶液」と「解答」にかけて、「化学」によって解決を図ろうというのは、70年代と比べて元気をなくし始めていた「化学」へのエールだったのでしょうか? 1984年のノーベル化学賞は、 R.B.メリフィールド(米)「固相反応によるペプチドの合成」(廣田襄『現代科学史』、2013)、依然として「ものづくり」系ですが、オゾン層の破壊が問題になり始めており、この大会でも小さいながら「環境」のセッションがすでにありました。

スローガン

1980年代後半から日本化学会の会員数は再び増加に転じ、2010年以降も30,000人以上を維持していることがわかります。「ものづくり」に必要な化学的な知識は、その「もの」による環境問題の解決にも必要であるからです。
kaiinsuu
 今回のPaciifichme2021は第8回目の開催になります。ホスト学会である「日本化学会」が掲げたスローガンは「未来への造像的な展望」です。
 大河内副理事長は1995年以来5年毎の本大会に6回目の参加とのことですが、いまやメインストリームになり始めている環境化学の分野での大量に発表するなどの国際貢献が続いており、これからの活躍が楽しみです。

 少し蛇足を追加すると、1984年の会議の後に隣のハワイ島へ足を延ばし、かなり苦労して、古い有事などのつてを頼ってマウナロア観測所の見学をしたことを思い出しています。当時、二酸化炭素の測定は世界的に知られていましたが、観測所に常駐者はいなくて、海岸に近いHiroの町から週2回、用紙交換などに通っている車に便乗させてもらって見学しました。施設も木造の質素なもので「富士山測候所の方が立派ですよ」と言われたことを思い出します。

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      マウナロア観測所全景(1984)

マウナロア観測所2021
マウナロア観測所の全景(2018, R.C.Schnell )

 あれから、25年、多くの建物やタワーが加わり、観測項目も増え充実した観測所になっていることがわかります。本NPOの「応援団」でもある Russ Schnell 博士と連絡がとれる今なら、ハワイ島まで行けば若い学生さんたちに世界のトップ山岳施設を見学していただくチャンスがあったに違いないと思うと、オンライン開催が少し残念ですね。

(広報委員会)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かかるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)のです。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

無題
TBS系 ドキュメンタリー「解放区」毎週夜 0:58~放送中 Webより


2022年1月16日(日曜日) 夜0:58~
TBS系 ドキュメンタリー「解放区」
『 魔法の素材が舞う ~プラスチック大気汚染~ 』が放送されます。




  魔法の素材が舞う ~プラスチック大気汚染~

 私たちが呼吸で取り込む空気中にマイクロプラスチックが飛んでいる…そんな実態が世界中の専門家の報告で明らかになりつつある。“海を汚すもの”として、プラスチックごみの問題が注目され、国内では、「レジ袋の有料化」や「プラスチックごみ削減のための法制化」が進んだ。ただ、海だけではなく、東京・パリ・北京といった各国の市街地に加え、標高3776メートルの富士山頂や北極などの大気中でもプラスチックが確認されている。

レジ袋や食器、マスク…安くて、形や硬さを自在に調節できる“魔法の素材”プラスチックは、私たちの身の回りにあふれ、欠かすことはできない存在だ。暮らしと決して切り離すことができないプラスチック製品とどう向き合えばいいのか…最新の研究から見えてきたこととは。   
   
無題

NPOの大河内副理事長が、
(富士山頂での)どのような研究を行っているか?が
とてもよくわかる番組となっております。

(今度ブログでも紹介いたしますが、
他にもアースドクターとして色々な研究結果もされています。)

番組では
生分解性プラスチックが、
都市部の大気などでは採取されないにも関わらず
富士山頂だけで発見されるという研究結果も紹介しております。

プラスチックが地球環境に及ぼす影響を学べますよ~

ぜひご覧ください。

(広報委員会)




認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かかるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)のです。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

無題
AERA dot. のWebサイトより


新年あけましておめでとうございます。
2022年もよろしくお願いします!

2022年の元旦、
『富士山噴火「すでにスタンバイ状態」と京大名誉教授 南海トラフと連動する可能性』
という記事をWebで見つけたのでクリックしてみると・・・

 
 無題


 昨年12月3日午前2時過ぎに山梨県東部を震源とする震度4の地震が発生。さらに、午前6時半過ぎに最大震度5弱の地震も起った。気象庁は記者会見で「富士山の火山活動との関連性はないとみている」としたが、専門家の見立ては少し違うようだ。

 認定NPO法人富士山測候所を活用する会理事で、東海大海洋研究所地震予知・火山津波研究部門の長尾年恭客員教授は、将来的には一つの不安材料だと見ている。

AERA dot. のWebサイトより




また数日後に
『富士山噴火なら「新宿で灰が10センチ積もり、首都機能マヒも」 17年ぶりハザードマップ改定』
と、気になる記事を発見!!


  無題

 富士山の降灰シミュレーションについて、内閣府の担当者は「地震対策と違い、これまで降灰対策について十分に考えられてこなかった」という。被害総額はいくらになるのか。04年に政府が出した経済的被害額の総額は2兆5千億円としている。認定NPO法人富士山測候所を活用する会理事で、東海大海洋研究所地震予知・火山津波研究部門の長尾年恭客員教授によると、この被害総額は羽田空港や成田空港の閉鎖、新幹線や東名高速道路が長期間使えないような被害は算出不能として入っていないという。地震と異なり、噴火はいつまで続くかなど予測がつかないことが多いためだ。
  AERA dot. のWebサイトより



降灰のシュミレーション結果に驚愕してしまいますが、
読み続けてると本NPOの長尾理事のコメントが!!



 「富士山の噴火は現代のIT化された時代で初めて経験する未曽有の災害となる可能性がある。長期間、電車も自動車、新幹線、飛行機も使えずとなれば、被害総額は100兆や200兆となるのではないかと思っています。南海トラフ大地震で想定される被害総額220兆円と匹敵する被害です」
AERA dot. のWebサイトより



お正月から衝撃的な事実ですが、
「天災は忘れた頃にやってくる。」、「備えあれば憂いなし。」です。


私たちNPOは富士山という立地を活用して
大気、雷、微生物、地磁気観測といった研究を行っております。

NPOは日々資金面などで窮地に立たされていますが
“やれること“を一歩づつ
そして
みなさまに日頃の成果を
ご報告、シェアできたらと思っている所存でございます。

本年もどうごよろしくお願いいたします。

(広報委員会)





認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かかるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)のです。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

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