最近のMLO(R.C.Schnell博士提供)
1月12日のブログでご紹介しましたが、マウナロア観測所(MLO)は昨年11月末の噴火による溶岩で道路が寸断され、通行不能になっています。しかし、MLOの建物、測定器などは噴火による被害を受けていないとのことです。
シュネルさんから送られた画像を上に示します。
現在唯一の交通手段であるヘリコプター(R.C.Schnell博士提供)
被害を受けたのは通勤に使う道路と、麓から送られている送電線で、その復帰には1年かかると考えられ、現在シュネルさんたち職員はヘリで通っています。一日も早い復旧を祈りたいですね。
なお、1月12日のブログの動画でご紹介した、溶岩の流れについて、火山噴火の専門家の長尾年恭理事から次のようなコメントを頂きました。
ハワイ島には4,000メートルを越える山が2つあります。1つは標高4,205mで、環太平洋で一番高いマウナケア山。そしてその南側に位置するのがマウナロア山です。マウナロアは、標高4,170mと高さこそマウナケアより若干低いのですが、実は世界で一番体積の大きな火山と考えられており、海底からの標高は8,000mを超えるとされています。
マウナロアは2014年に活動を再開するまで30年近く休眠状態だった火山です。その活動は2019年に激しくなり、2022年9月以降、本格的な活動が始まったようです。
マウナロアが噴火すると、溶岩(マグマ)の粘性が極めて低いため、溶岩は高速で流れ出し、数時間のうちに海やリゾート地の人口密集地域に到達するのです。その溶岩の性質のため、マウナロアは火山として極めてなだらかで、盾を伏せたような形をしています。
現地時間10月14日にこの地域としては比較的大きな地震が発生しました。すでに地震は少なくとも20個ほど発生しています。米地質調査所によれば最初の規模はM4.6で、24秒間揺れが続いたあとM5.1の強い揺れが同島南部パハラのハイウェー付近を襲ったという報道がなされています。
そして11月27日、ついに38年ぶりの噴火が始まりました。
マウナロアは世界最大の体積を持つ活火山と言われています。マウナロアの噴火が最初に記録されたのは1843年で、最後の噴火は1984年でした。マウナロアの溶岩は粘性が低く、爆発的な現象は伴わないのですが、すでに他の情報にありますように、山頂への道路が寸断されてしまったようです。地球環境モニタリングのためにも、できるだけ早い復旧が望まれるところです。(文責:長尾年恭)
長尾理事の連続投稿ブログ(1月10日、1月16日、1月19日)と併せてお読みいただければと思います。
本NPOには、多彩な理事が分野横断的な共同研究を行っており、マウナロアについても多くの情報が集っております。今後ともご注目願います。
(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
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