太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2023年03月01日

2月末に米国から帰国した鴨川仁専務理事から、雷研究グループのホットな速報がが入りました。
以下、3月18日のNPO成果報告会の講演で詳しく報告されますが、「さわり」をここにご紹介します。

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 山頂に運搬したTHOR装置。設置は1号庁舎2階で行いました。(2022年9月5日撮影)

2022年夏は、山頂にはNPO発足以来、最大数というほどの落雷がありました。
我々、雷チームは、地球ガンマ線(TGF)と呼ばれる、落雷時の高エネルギー放射線の
検知を目指しています。
その研究のグループの中心は、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の
David  Smith先生らのグループです。


David Smith先生らは、GODOTと呼ばれる巨大スーツケースと同じサイズの
放射線測定機器を開発し、富士山でTGFの見地を目指していました。
過去複数年にわたって夏期観測するも、一度も検知ができたことがありませんでした。
しかし、2022年はGODOTよりもっと高性能のTHORという機器を導入し、
 今までTGFは山頂で検知できていなかったものの、もし検知できたならば
という期待で今年は観測を行いました。

ところが、なんとビギナーズラックというべきか、かつてない落雷が発生し始めて
TGFを富士山頂で測定することができました。
それも1度ではなく複数回検知できており、一同、大きく喜びました。
Smith先生らはTHORを複数個作成し、富士山頂だけでなく、スイスの山など
世界中に機器を設置しています。しかしこれだけ一度に山岳においてTGFデータが取れたのは
昨年夏の 富士山が初めてということで、詳細なデータ解析を一同で行うことになりました。

今回(2月17-23日)は、日本からは、鴨川専務理事がカリフォルニア大学サンタクルーズ校を訪問し
パワーポイント、ホワイトボードも駆使しながら、議論を行うことができました。

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 米国カリフォルニア大学・サンタクルーズ校で議論するメンバー(2023年2月20日、撮影鴨川仁)

2020年以来のコロナ禍ではZoomを通しての議論が主流でしたがやはり
対面の議論の効果は大きく、短期間の議論にもかかわらず、論文の方向が定まり
これから、執筆が始まります。この成果がどういうふうにまとまるかは
今後、いつかブログでも紹介したいと思います。
また、速報は3月に行う成果報告会でも、Smith先生のご発表で聞くことができます。

以上、鴨川専務理事の熱気にあふれた報告です。
雷グループの研究成果も目を離せないですね。
(広報委員会)



認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。



 

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