富士山チャレンジでおなじみの田中義朗理事の投稿ブログを
以下にご紹介します。
これまでにない新しい見地からのブログはいかがだったでしょうか?
(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
以下にご紹介します。
図1 航空レーザー測量の計測イメージ【国土地理院ウェブサイトより】
本NPO活動の通勤路でもある「富士山登山道」をテーマに話をします。
まず富士山の登山道を簡単に整理してみると、古代から中世までの修験道から、近世の富士講から現代に続く近代的な観光登山へと様々な時代背景のなかで変遷しています。その中で山頂へと続く「登山道」がいくつか啓かれ、社会環境変化による盛衰の結果、現在の4つの登山道として確立されました。現在の登山道は、道路の管理上「公道」(=県道)としての扱いとなっており、静岡、山梨の両県の道路管理部署が維持管理を担っています。また富士山ならではの事情により県境が確定されていない山頂部の登山道(周回線歩道:通称お鉢回り歩道)については環境省が管理しています。
次に登山道マップですが、古の富士山登山の様子を描いた絵図で有名な「富士曼荼羅図」や江戸期の近世に描かれた山頂付近の絵図など、登山道やその周辺の地形の様子がリアルに表現された立体図(鳥観図)から始まっています。これらは、測量に基づいた「地図」ではありませんが、当時の絵師達が実際に観察し想像して描いたであろう3次元的登山マップであり、実際の富士山登山道の険しく荒涼とした雰囲気を伝えるには十分有効な地図情報だったといえます。
【彩色立体地図:吉田口登山道山頂付近】
近世以降は測量技術を用いた伊能図からの変遷を経て、国家的な地図作成プロジェクトとして陸軍陸地測量部を前身とする国土地理院に引き継がれた地形図(2万5千分の1)が作成され、そこに登山道も付帯情報として記載されています。現行の富士山登山道マップの多くはこの地理院地形図を元図にしてルート情報や山小屋位置(トイレ)が記載されたものや、区間単位での標準コースタイムが書かれているものが作成されています。しかし、登山初心者が大半を占める富士登山では、登山道マップをしっかり見て登山することがあまり浸透していないようです。その理由として、地形図の等高線から高低差をイメージしづらいことや登山道の詳細な地形情報が地図に十分反映できていないことも一因かと思われます。
実は近年デジタル技術の発達に合わせて、地形測量技術も大幅に進化しており、富士山登山道マップが劇的に進化する可能性が高まっています。それは静岡県が2020年に計測作成した最新の航空レーザー測量技術を使った精密三次元立体地図で、航空機から地表面にレーザーを照射して、それらの点の3次元座標から地形計測・図化する技術です。これにより3次元空間上で山の地形と登山道の位置関係をわかりやすく表現することや、登山道の歩きやすさに関わる路面の凹凸度(岩場か平滑な道か)や、道幅・勾配の変化を数値化することが可能となります。それらの情報は登山者にとって登山の計画準備だけでなく、危険場所の把握による遭難事故の低減や、事故発生時に発生位置の特定や共有などの初動対応に役立つ情報になることが期待されます。
現在山梨県富士山科学研究所が中心となって、精密三次元立体地図を活用した吉田口登山道でのデジタル管理のための取組を始めています。今後富士山の全登山道にも展開して、安全安心な登山の環境づくりが進められることに期待しています。
図3 航空レーザー測量データによる精密三次元立体図
【3D立体図:剣ヶ峰・山頂全体】
現在山梨県富士山科学研究所が中心となって、精密三次元立体地図を活用した吉田口登山道でのデジタル管理のための取組を始めています。今後富士山の全登山道にも展開して、安全安心な登山の環境づくりが進められることに期待しています。
(文責:田中義朗)
これまでにない新しい見地からのブログはいかがだったでしょうか?
(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。
また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。
しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。
本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので などでご確認ください。
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