太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2023年06月

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 6月26日(撮影:坂本健二)

6月21日から、坂本健二、大部良輔、鳴海玄希の3名の班員が加わり、5人体制になった山頂班による開所準備は急ピッチで進められています。
上の写真は6月26日に撮影され、昨日大部班員から送られたものです
26日は、御殿場での仕事があった鳴海を除く4人で上山しました
坂本班員からです。

19,20,22,26日の山頂班による上下山によって、依頼試料や生活用水の採水と同時に周辺の除雪作業、庁舎内の整備、トイレ設置、排水口の点検などの開所準備などを行ってきました。

22日には、通電の立ち会いも行われましたが、山頂は風速20m/sec強の暴風雨だったとのことです。(作業日報より)

なお、準備作業は、東京事務所でも行われていて、富士山環境研究センターのスペースは荷物に埋まっています。

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  山頂へ運ぶ予定の装置に囲まれて作業中の鴨川専務理事(6月28日)

6月29日
おはようございます。昨日(6月28日)5回目の上山を終えました。これにて開所前の上山は終了となります。いよいよ7月1日に開所です。無事に始まることを切に願っています”

山頂班から連絡が入りました。これで山頂での受け入れ準備完了です。
(広報委員会)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。


 5月以降、八丈島北西沖、新島・神津島・利島近海、そして6月19日には伊豆大島西方でまとまった地震活動が発生しました。いずれもフィリピン海プレート北部の火山活動に関係した群発地震活動です。

 特に5月14日をピークに発生した八丈島北西での活動は、マグニチュード5.9というかなりの規模の地震が複数発生しました。幸い陸から離れた所での発生であったため、観測された最大震度が3という事もあり大きなニュースにはなりませんでした。

 また5月22日から新島・利島近海でも群発地震活動が発生しました。こちらは利島で震度5弱を観測したため、ニュースでも大きく取り上げられました。実際は八丈島北西で発生した地震のほうがエネルギー的には8倍も大きかったのです。

 つまり社会にとっては観測された最大震度がいくつであったかが、話題の中心となりますが、地球科学的には八丈島北西での地震活動のほうが規模も大きくはるかに重要な意味を持っているのです。

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 伊豆諸島では、1980年代半ばから伊豆半島東方沖で繰り返し群発地震活動が発生し、特に1989年には伊東沖で海底噴火が発生し、手石海丘が形成されました。
 その後、毎年のように主なものだけで12回も発生していた伊豆半島東方沖(伊東沖)での群発地震活動ですが、2006年を最後に群発地震活動が停止したように見えます。

 2000年には、三宅島がおよそ3000年ぶりと思われる大噴火を引き起こし、現在も山頂に巨大な噴火口(カルデラ)が存在しています。この三宅島の噴火では、火口から放出される有毒ガスの噴出が止まらず、結果として4年半もの間、全島民が避難を余儀なくされました。

 さらに6月19日には伊豆大島西方海域で突然群発地震活動が開始しました。伊豆大島も前回の噴火(1986年)からすでに37年が経過しており、過去の活動履歴からは噴火がかなり近い事が予想されています。ただ今回の群発地震はほぼ一日で収束したようで、私としては少しほっとしています。

 地震の並び方を見ますと、伊豆大島の長手方向(割れ目噴火の方向)とほぼ一致している事がわかります。この方向にマグマが貫入しているのかもしれません。

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 そしてこのフィリピン海プレートの最北端には我らが富士山が位置しています。幸い現在の富士山に噴火の兆候はありませんが、富士山は人間で言うと二十歳ぐらいの極めて若い火山です。富士山がそれほど遠くない未来に噴火することは100%確実というのが火山学者のコンセンサスです。

 この地域は、かつては「富士火山帯」とも呼ばれていたのですが、現代では境界が曖昧なことや、マグマの発生の仕組みを考えるとあまり意味が無い分類という事から、「火山帯」の名前はほとんど使われなくなっており、中学や高校の教科書からも消えているのが実情です。


参考文献

田沢堅太郎, 広域応力場と伊豆大島の割れ目噴火との関係, 火山第 41巻 (1996) 第 5号 203-214頁

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kazan/41/5/41_KJ00001052369/_pdf/-char/ja


(文責:長尾年恭)
(広報委員会)
認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の
拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が
主体となって立ち上げたNPO法人です。

また富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。


看板
主催団体

4月17-21日に、新潟県朱鷺メッセで、COVID-19で開催が遅れていたAcid Rain2020が、畠山史郎・アジア大気研究センター所長(本NPO・富士山環境研究センター長)の主催で行われました。

本NPOからは、大河内博副理事長、加藤俊吾理事らが出席し、富士山に関しては下記の講演発表を行っています。

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  会場風景(加藤俊吾理事撮影)

加藤俊吾理事からは
”コロナ禍で長らく行えなかった対面での国際学会にやっと参加でき感慨深かったです。とくにポスターセッションは対面でこそできる細かいやり取りがあるので、ポスター発表の重要性を再認識しました。本NPO関係者も多数参加しており、夏期観測に向けた準備の情報交換などもおこなうことができました”
というコメントが届きました。

大河内先生
  大河内副理事長と George Lin 台湾中央大学教授

また大河内副理事長からは下記の学生さんたちの発表の写真が送られてきました。

Tani Y, Okochi H, Onozuka Y , Hayami H, Takeuchi M, Katsumi N, Kajino M, Adachi K, Niida Y, Kato S, Wada R, Kamogawa M, Iwasaki H, Yokoyama K, Nagato T, Narumi G, Miura K, Hirose K, Dokiya Y. Occurrence, behavior, fate, and health impact of airborne microplastics (AMPs): 
Characteristics of AMPs in high altitude and polar regions (4)

Oshimi M., Okochi H, Wang Y., Endo M., Dairiki M., Katsumi N., Minami Y., Yonemochi S., Miura K.,, Kato S., Wada R., Takeuchi M., Toda K., Dokiya Y., Hatakeyama S. Long-term monitoring of cloud water chemistry in the free troposphere and boundary layer of Mt. Fuji(1)

Homma A., Okochi H., Yada T., Hayami H., Katsumi N., Minami Y., Kobayashi H., Miura K., Kato S., Wada R., Takeuchi M., Toda K., YonemochiS., Dokiya Y., Hatakeyama S.
 Long-term Observations of Water SolubleAerosols and Gases in the Free Troposphere and Atmospheric Boundary Layer on Mt. Fuji for the Assessment of Transboundary Air Pollution Impacts.

Kato S, Yada S, Wada R, Okochi H, Miura K, Kamogawa M, Minami Y, Kobayashi H, Dokiya Y 
Long-term measurements of trace gases at the summit of Mt. Fuji during summer.

ポスター(1)
  
ポスター2
 
ポスター3
 
ポスター4
 
ポスター5

ポスター6)
  
この会については長い歴史があります。
1960年代後半から、まずヨーロッパの森林の被害が現れ、スウェーデンの土壌学者・Svante Oden らによって、越境大気汚染が原因であることが証明されたことなどから、大気、陸水、生態などの広い範囲の研究者によるネットワーク観測が始まり、北米大陸にも広がりました。

1975年に米国、オハイオ州コロンバスで始まったこの世界的な研究集会は、環境問題を扱う大規模な集会に発展して、ほぼ5年ごとに行われており今回で10回目を迎えました(表1)。1970年代最も深刻な大気汚染問題であった酸性雨問題は、越境大気汚染として認識され、冷戦下に旧ソビエト圏内の森林の被害も明らかにするなど、この国際学会が果たした役割は、冷戦時代から大きいものがありました。欧米の硫黄および窒素酸化物の発生源対策が進んだ後は、アジアに焦点が移りました。

第6回目の2000年はつくばで行われ、組織委員長の国立環境研究所の近藤次郎氏が、初めてアジアで行われるこの大会で大気汚染研究の大切さを述べておられました。

表1 Acid Rain International Conferenceの歴史
年   開催地
2023  Niigata, Japan 
2015  Rochester, USA 
2011  Beijing, China 
2005  Prague, Czech Republic 
2000  Tsukuba, Japan 
1995  Goteborg, Sweden 
1990  Glasgow, Scotland, UK 
1985  Muskoka, Ontario, Canada 
1980  Sandefjord, Norway 
1975  Columbus, Ohio, USA

それから20年(コロナ禍で3年延びましたが)同じアジアの新潟で本年行われたことの意義は大きく若い人が沢山参加したことは素晴らしいことです。
(広報委員会)


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また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
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6月18日に開所した御殿場基地事務所の横山勝丘班長と川原庸照班長は
6月19日山頂の庁舎点検のため登山
下記の写真と、メールが入りました。

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 2023年6月19日、山頂班撮影

”みなさま
山頂班の横山です。
昨日18日より、今年の夏期観測に向けた開所準備が始まりました。
20日までは川原、横山の2人体制。
21日からは坂本、鳴海、大部の3名も合流します。

本日(6月19日)、今年最初の上山で測候所内の点検に行ってきました。
ここ数週間の雨と高温で、例年と比べて積雪は少なめでした。
しかし馬の背上部と頂上付近、西側の雪囲い周辺にはいつものように残雪があります。
5人体制になってから本格的に除雪作業を進めていく予定です。

庁舎内をざっと確認したところ不具合は見られませんでした。
また、雨漏りも例年と比べて少なく、昨年の防水工事の効果はてきめんのようです。
これから月末までに4~5回上山して、庁舎内の受け入れ態勢を整えていく予定です。
みなさま、本年もよろしくお願い致します。
山頂班 横山”

昨年は「夏期観測2022 富士山頂の現場から(その1~11)」のブログを公開しましたが、
今年は「夏期観測2023 富士山頂の現場から」に加えて、
開所準備速報も山頂班の協力で随時公表しようと思います。
よろしくお願い致します。

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また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
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開所6人
左から川原班長、加藤理事、岩崎班長、横山班長、鈴木茂美、皆巳副事務局長(撮影:古谷智子)

開所の打ち合わせに東京事務局から出向いたのは、皆巳幸也副事務局長・理事、加藤俊吾理事、鈴木茂美、古谷智子の4名で、現地で合流した岩崎洋、川原庸照、横山勝丘山頂班長と開所の打ち合わせを行いました。


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  御殿場基地事務所

2023年の夏期観測に向けて、6月18日(日)御殿場基地事務所を開所しました。

以前のブログでご紹介したように、本NPOの夏期観測の活動拠点は下から御殿場(446m)、太郎坊(約1300m)と山頂(3776m)です。御殿場は2019年以来、閑静な市街地に通年で1軒家を借りています。

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  打ち合わせ風景(撮影:鈴木茂美、2023年6月18日)

皆巳理事のメールの一部をご紹介します。
皆巳@裾野です。
昨日6月18日の午後に御殿場の開所にあたって山頂班、事務局、関係理事の会合を行いました。お集まりいただいたみなさま有難うございました。
来年度に向けた反省としては、山頂班への依頼業務はこの段階でマニュアルも揃えておくべきこと、がありました。今回は、リストだけはお示しすることができましたが、一部では期限が守られていない事例もあり、一度は厳しい対応をしても良いのでは、との意見もありました。
これから9月まで、よろしくお願いいたします。
6月18日から9月12日までは、御殿場は常駐者がいます。
いよいよ今年の夏期観測も本番です。

(広報委員会)


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また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
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