太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2023年10月27日

前回(2023年10月6日)のブログ
大河内副理事長の山岳大気における
マイクロプラスチック観測についての
各メディアに掲載された記事を紹介しましたが、
有名な英国の大手新聞ガーディアン紙にも掲載されました。

Gardian

記事を翻訳すると以下の様な文章が書かれています。

マイクロプラスチック(MPs)は海底から南極の氷に至るまで、あらゆる場所で発見されているが、今回新たな研究によって、日本の2つの山の頂上にかかる雲という新しい場所で検出されたことは驚くべきことである。

富士山と大山(神奈川県)周辺の雲には、無視できない微小なプラスチック片が含まれており、この汚染がいかに長距離に広がり、「プラスチックの雨」によって地球の作物や水を汚染するかを示唆している。サンプルにはプラスチックが濃縮されており、これが雲を形成していると考えられている。

第一著者である早稲田の大河内博教授によると、プラスチック大気汚染 の問題に積極的に、いま取り組まなければ、気候変動や生態系のリスクが現実のものとなり、将来、取り返しのつかない深刻な環境破壊を引き起こすかもしれない。

この論文は『Environmental Chemistry Letters』誌に掲載されたもので、
著者らはこれがMPsの雲水中で最初に発見した論文であると考えている。

ヒトや動物はMPsを大量に摂取したり、吸い込んだりしており、ヒトの肺、脳、心臓、血液、胎盤、糞便から検出されている。
MPsの毒性はまだ研究中だが、マウスをMPsに暴露させた新しい研究では、行動の変化など健康上の問題が指摘されており、他の研究ではがんや過敏性腸症候群との関連が見つかっている。

早稲田大学の研究者たちは、1300〜3776メートルの高度でサンプルを採取し、ポリウレタンのような9種類のポリマーと1種類のゴムを発見した。雲の霧には1リットルあたり6.7~13.9個のマイクロプラスチックが含まれており、その中には親水性のプラスチックの破片が大量に含まれていた。MPsは大気圏上層部で紫外線にさらされると分解が早くなり、温室効果ガスを発生させるためと思わる。緩衝能の小さい極域の雲にこれらのMPsが高濃度で存在すると、生態系のバランスが崩れると著者らは指摘する。

今回の発見は、MPsがいかに移動性が高く、大気や環境中を長距離移動できるかを明らかにした。また、著者らは、空気中に漂うプラスチックの主な発生源は、海塩の飛沫、つまりエアロゾルである可能性があるとし、また、道路を走る自動車が巻き上げる埃もまた、発生源の一種である。
大河内理事らの論文は、世界的に認識され、すでに100を超えるWebニュースで紹介されています。

日本語、英語のみならず、
フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、中国語など多言語のニュースや、
百科事典 Encyclopedia Britanica(2023.10.3)にも紹介されています。

芙蓉日記の会の
Martin Hoodさん(スイス在住)から
掲載の「おめでとう」のコメントが書かれたメールを頂きました。

Congratulations are in order - I was pleased to see an article in the Guardian, the UK's "Asahi Shinbun", about research on microplastics in clouds, quoting a recent paper by Okochi Hiroshi and others. The research, it seems, was conducted at the Mount Fuji Research Station and also at Tarobo. You can find the article here

Regarding Okochi-sensei's paper, I thought it was very readable - and gave an excellent overview of the whole microplastic problem. 
I suspect that other newspapers and journals will soon pick up this story - it is quite a dramatic discovery, and highlights the role of the Mount Fuji Research Station too....

今後の広がりを予想し、
富士山環境研究所の研究の一つのハイライトになると述べています。

いまや、大河内先生の富士山での大気観測による
マイクロプラスチックの発見は
世界を駆け巡るニュースになっているようです。

本NPO全体にとって嬉しいニュースですね。
(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。


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年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。


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