太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2023年12月

本紙夕刊1面で掲載中の「photoこの一枚」季節の彩や象徴的な出来事などを大型写真で紹介する企画で、2023年は17回掲載した。その中から、今年節目を迎えた名所で撮影した3カットをあらためて紹介する。(写真と文・戸上紘一、紙面構成・山下洋史)
12月25日東京新聞紙面より
という記事の中で掲載された3枚の写真のうちの一枚として、東京新聞7月31日の紙面に掲載された、富士山頂の雷観測の様子(鴨川専務理事と村田浩太郎・埼玉環境国際センター研究員)が「10年最高峰の研究を」(世界遺産登録から10年の富士山)として選ばれています。
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 12月25日東京新聞紙面より
他の2枚は
30年 全方位で首都を望む(開通から30年を迎えたレインボーブリッジの主塔頂上から台場方面を望む一枚。)
98年 思い出は咲き続け(今春で伐採された、あきる野市武蔵増戸駅前に立つ2本のソメイヨシノ(安兵衛桜)を写した一枚)
です。

8月14日の本ブログでもご紹介しましたが、東京新聞7月31日夕刊の第一面の大半を占める富士山頂の研究者の3枚の写真は圧巻で、多くの知り合いから「よかったね」「おめでとう」のメールやチャットを頂きました。今回その中の「お鉢を背景に1号庁舎の上で測定する鴨川専務理事と村田研究員の写真」がまた取り上げられたことは素晴しいことです。
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 7月31日東京新聞紙面より
The New York Timesの「2023年初めて起きたこと20選」の一つに選ばれた、大河内副理事長の「富士山における大気中マイクロプラスチック観測」に続く今回の快挙は、苦労してこれまで測候所の維持管理を続けてきた本NPOの活動への有難いエールでしょうか?

来年も、富士山頂の研究・教育活動がクローズアップされる年になることを祈ります。

記事の内容は、東京新聞ウェブサイト TOKYO Web でご覧いただけます。
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東京新聞ウェブサイト TOKYO Web より

(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。



NHK Eテレの番組『NHK俳句』は、全国から投稿された句の中から優れた作品を各週の選者が選び紹介し、毎回、魅力的なゲストを招いて楽しく俳句を学ぼうという番組です。

この番組のNHKテキスト『NHK俳句1月号』(12月20日に発売され現在、書店に並んでいます)の特集は「富士山を詠む」。ここに「強風極寒の富士山頂が教えてくれること」と題して、土器屋由紀子理事の文章が掲載されました。
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特集ページ

本NPOウェブサイト > コラム・評論集 の『交通新聞』コラム・交通評論「冬富士に思う」を読んで、そのリライトと写真の提供を依頼されたものです。

このときのコラムは2013年に執筆した随想で、岩崎洋山頂班長出演のNHKTV「白い魔境」関連で、気象庁時代の登下山の苦労や、本NPOの初期の研究(上田紗也子さんが「測候所OB/OGの集まり」で研究紹介を行い先輩に褒められた話など)、当時の研究トピックスを中心に書いていました。

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 2013年1月15日『交通新聞』コラム「交通評論」

今回リライト(約800字)にあたっては、その後10年経った現在のNPOの研究トピックスとして、二酸化炭素通年観測の結果、マイクロプラスチックの話(世界で初めて富士山大気中で観測)、雷観測などを加え、それらがすべて自費で行われていることにも触れました。

スぺースの関係で各研究者のお名前を挙げることはできなかったのですが、「富士山頂で地球環境の変化に迫る研究が自主的に行われていることを知っていただけると有難いです」とまとめています。

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佐藤政博監事の1960年代の測候所勤務中に撮影された写真2枚の他に、山頂の雷の写真として最高傑作の故山本季生さんの写真、夏期観測ブログの中から坂本健二山頂班員の影富士、大部良輔班員のブロッケン現象の写真なども掲載されています。

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(左)山頂付近では雷も至近距離で観測出来るため(撮影:山本季生)さまざまな種類の雷のデータが蓄積できる
(右)晴れた日に富士山自身の山体が影を落とす影富士(撮影:坂本健二)

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 富士山頂で見られたブロッケン現象(撮影:大部良輔)
 太陽の光が背後から差し、水蒸気によって影に虹のような光彩が彩る。
(本ページの3点とも提供:認定NPO法人富士山測候所を活用する会)

自然科学以外の分野でも富士山測候所について取り上げられたことが、少しでも本NPOの活動の理解に役立つことを祈っております。
(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

12月15日発刊月刊「コンバーティック」注 2023年12月号 編集部取材記事のトップに早稲田大学大河内博教授が取り上げられています。
 「最先端大気中マイクロプラ研究で地球環境・健康影響を未然に防ぐ」
というタイトルのこの記事は8ページに及び、大河内博副理事長(早稲田大学教授)の研究全般にわたっています。小林千咲希氏による丁寧な取材記事は初めから通読して頂きたいと思いますが、項目ごとに簡単なご紹介を下記に示します。
トップページ
 月刊「コンバーティック」2023年12月号より
・始まりはカンボジアで見たプラごみの花
「大気、水、森林」をキーワードとする大河内教授の地球環境問題研究のなかで、大気中マイクロプラスチック(AMPs)研究に着手する大きいモチベーションとして、カンボジアで見たプラスチックゴミの状況がありました。 

・空気動力学径でナノに近いAMPsを採取
海洋での研究が先行したマイクロプラスチックはプランクとネットの網の目に合わせて5mm以下と定義されていますが、大気中ではもっと小さい粒径でエアロゾルとして存在します。その採取法をPerkin Elmer Japan との共同研究で確立しました。

・専門家チェックで誤判別防止
Perkin Elmer Japanと共同開発した「μFTIR ATRイメージング法」による計測法を使用。

・自動車交通、屋外でのプラの利用も一因に
自動車のタイヤの道路摩擦、国別の機種の違いで、洗濯機からの合成繊維状のマイクロプラの発生、人工芝、廃棄物処理、埋め立て地などについても検討。

・プラ添加剤による健康リスクの示唆
人体への吸収、APMsは大人で1日900個(約600ng)子供550個(約200ng)、人体に影響がないという報告もあるが、PM2.5のように小さいものは肺に入り込む恐れが…

・雲結晶核として地球冷却化の可能性あり
水蒸気が凝結して雲になる時の核(氷晶核)になる可能性もある。これは地球冷却に関与し、温暖化のどちらに関係するか未解明。増大する廃棄物に関して予断を許さない。

・富士山頂から生分解性プラ、PET発見
2019年の富士山頂夏期観測でPM2.5のサンプルの中にAMPsを検出、生分解性プラスチックであるポリヒドロキシ酪酸などを検出。

・海の花に海水の600倍の海洋MPs
健康影響評価を進める環境研究総合推進費(AMΦプロジェクト)の代表として、多くの研究を統括する過程で、能登半島の冬の風物詩「波の花」には海水の130-600倍のMPsが含まれることを発見。

・プラではなく材料で分ける。
今後の対策として「リサイクルの場合、プラスチックとしてまとめず材料ごとに分別することが重要です」と大河内教授。行政と企業、住民が一体となった取り組みが必要。
「問題が顕在化する前に未然に防ぐことが私たちの環境に対する考え方ですが、未来の担い手である子供たちにもその思いを伝えたいですね」
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みなさま、是非ご一読をお勧めします。
(広報委員会)

注:コンバーテックは、 フィルム・シート(原反、機能性付与タイプ、多層化タイプなど)、金属箔、紙・板紙、機能紙、不織布、合成紙、繊維、鋼板、炭素繊維複合シート、薄膜ガラ ス、セラミックシート、発泡シートなどのウェブ・シートをベースとする様々な加工技術(コンバーティング・テクノロジー)にスポットを当てた、世界で唯一 の技術情報誌です。


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
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毎年、年末になると夏期観測のデータに関する集まりが開かれます。
観測研究のグループがそれぞれ「生データ」を持ち寄って、突合せ、色々な見地から話し合うので新しい発見もあります。初めて山頂の観測に参加した若手も発表するチャンスが与えられ、学会発表とは違った、本NPOならではの集まりです。終わった後の懇親会は忘年会を兼ねていました。

コロナ禍以前は対面で、50名以上が集まり熱気のある集会だったこともありますが、コロナ禍以来、ハイブリッド中心の開催になっていました。今年も、会場の関係から講演はZoom中心でしたが、懇親会も復活し、久しぶりに以前の活気が戻った感じの集まりでした。

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 早稲田の会場
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定刻13時にスタート。
まず雷グループから、安本勝研究員が今年の夏の直撃雷発生数は6個で、2022年の10個には及ばないが増加傾向にあることなどを発表、活発な議論になりました。

安本1枚

次いで、静岡理工大・南齋勉教授、岡本大地さんのドローン観測による雲物理・化学の講演が続き、

静岡理工(2)

都立大、加藤俊吾理事および小山有宇理さん、野田琴音さん、青木紳悟さんの、CO、O3,SO2に関係する3題の講演では、火山予知へのアプローチが示されました。

(2)都立大

埼玉県環境科学国際センターの米持真一副室長のPM1,続いて村田浩太郎研究員の氷晶核の話も富士山の仕事の中で一定の位置を占めはじめているようです。

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前半の「トリ」は帝京科学大学の佐藤颯人さんの窒素酸化物の話でした。
佐藤

短い休憩をはさんで、後半は早稲田グループの話でした。

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大河内副理事長から、富士山頂の大気マイクロプラスチック(AMPs)の Environmental Chemistry Lettersの論文がガーディアン、ワシントンポストに続いて、ニューヨークポストの「今年初めて明らかになった20の話題の中に選ばれたことなどを手短に話し、若手にバトンタッチ。

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篠原和将さんのHULISの話には米持先生から質問。
篠崎大樹さんの有機マーカー:バイオマス燃焼のBSOAマーカー、花粉マーカー、胞子マーカー等。
本間旭陽さんの4弾フィルターを用いたエアロゾル水溶性成分の話。
押見基央さんの雲水化学ではpHの緩やかな上昇があること。
近藤優名さんは豪雨の話で、雷と硝酸イオンの関係にも言及。
谷悠人さんからはAMPsの話になり、2023年の積雪中の観測。
小野塚洋介さんは2023年のエアロゾル中のAMPSの観測。いずれも質問が集中しました。
最後に、周雪ていさんのPM1,PM2.5の金属に関する講演があり、重金属としてPbが最大であることやその増減などについて、米持先生他から質問がありました。
夫々に皆さんの熱気が感じられ、時間の経つのを忘れるような発表会でした。

引き続きの懇親会の1次会と2次会は・・・「昭和の時代のような?」という大河内副理事長のメールにもありましたが、懐かしい伝統的なものだったようです。

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 懇親会の模様(一次会)
         
来年3月の成果報告会が楽しみになる1日で、2023年の本NPO独特の年末のイベントが無事終了しました。
(広報委員会)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
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東京理科大学「科学フォーラム」から嬉しい情報を頂きました。
これまでにも、会報「芙蓉の新風Vol.7」や、本ブログで何度か取り上げた上田紗也子・名古屋大学特任助教は、2010年初頭は、東京理科大学・三浦研のまとめ役として活躍されていました。
2022年の第18回大気化学会奨励賞受賞に引き続き、研究者としての生き方が注目を集めています。

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名古屋大学の特任助教として大気エアロゾル粒子の研究に従事している上田紗也子さん。現在は鳥取の大気エアロゾル試料や、グリーンランドのアイスコア試料、モンゴルの氷河試料を分析・解析している。

とはじまるフリーライター/石井栄子氏の記事は魅力いっぱい。詳しくは「科学フォーラム」を是非ご覧ください。

「ペンギン大好き」から「ペンギンになりたい」と書いた、小学校1年生の時の作文の紹介からはじまり、南極越冬隊に興味を持って成長。
東京理科大へ進学して、三浦理事長の研究室に入って、研究が面白くなり、
当時の三浦研では大学院がなかったため、名古屋大学の大学院に進学。
霧の深い山小屋で一週間一人で観測する経験、観測船の経験などを積んで、博士号を獲得。

古巣の三浦研の博士研究員として2年間学生の指導に当たったのが、2011-13年。

測候所前

もちろん富士山測候所での観測の中心として活躍し、論文も書きました。
この間、名古屋で結婚していた上田さんは単身赴任でした。

お鉢、霧

2年後に名古屋大学の博士研究員となり、出産。しばらく休職しましたが、その間も研究のモチベーションを失わず、論文を書き続け、日本学術振興会の出産・ 育児による研究中断経験者を支援する制度への申請が 採択。
3年間の期限付き特別研究員とし て名古屋大学での研究復帰が叶い、任期満了後から 半年後、名古屋大学の特任助教となって現在に至っています。

上田一家

著者の石井栄子氏は
仕事と子育ての両立は長年の女性の悩み。「全てを得られないので妥協は必要。どこで折り合いをつけるかは価値観 や状況によって人それぞれで、一律の補助ではカバーできない。大事なのは周囲の理解や許容、そのためにどう説明し どう応えるかも重要」と上田さん。全く同感。後続の女性研究者に道が開かれますように。
と結んでいます。
これからも、「失敗の先に面白い結果がある」という信念で、ますます良い仕事をつづけてゆかれることを信じています。
(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
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本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

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