太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2024年07月


 山本正嘉『登山と身体の科学』(講談社ブルーバックス)

「科学的に効率よく登れば、疲れない、怪我しない。痛くない,身体も心も整える」と帯に書かれたこの本は、鹿屋体育大学における40年間のアスリートの競技力向上を目的とした研究の傍ら、ヒマラヤやアンデスでの初登攀の記録を持ち、日本山岳グランプリに輝く著者の集大成とも言えるものです。

「科学をあなたのポケットに」と言われるブルーバックスですが、決して「軽く」ない充実した内容です。著者自身が経験し、計測したデータが満載で、これ一冊読めば登山について相当の知識が得られます。

(目次)
第1章 登山とはどのような運動か
第2章 山での疲れにくい歩き方
第3章 山での栄養補給の方法
第4章 環境の影響から身体を守る
第5章 山で起こる身体のトラブルを防ぐ
第6章 体力トレーニングの考え方と方法
第7章 登山計画の立案と身体面の準備
第8章 安全登山の仕組みづくりとセルフチェック

登山はジョギングと同じくらいの有酸素運動、登山とウォーキングは正反対の運動、酸欠は意識呼吸でカバーする、山で起こる4大身体トラブル、トレーニングをやっても役に立たない場合、・・・などなど、目からウロコの知識が的確なデータとともに丁寧に書かれています。(数年前にこの本があればどんなに楽だったでしょう!と思う人も多いかと思います)富士登山についての言及もあり、第4章の「富士登山と低酸素の影響」は本NPOでの研究結果がまとめられています。

内容が多いため図表が小さいのが欠点といえば欠点です。まず、拡大鏡を用意して読みましょう。

2024年5月20日に発売され、7月18日にはすでに4刷りが出されたこの本は、山へ登る初心者には必携です!登山者だけでなく、日常の動きが緩慢になっている高齢者が地上で生きてゆくのにも役に立つと思われます。

ご購入はこちらから
https://npofuji3776.org/museum/book.html
この夏、おすすめの1冊です。
(広報委員会)

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会員特典として、会報誌『芙蓉の新風』(年1回発行)の送付、富士山頂郵便局スタンプ付きの暑中見舞いをお送りするなどの他、ウェブサイトの会員限定ページでは、山頂からのライブカメラ画像のアーカイブをはじめとするコンテンツをご覧いただくことができます。

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 傘もとれて江ノ島が見えます。(2024年7月19日、岩崎洋山頂班長撮影)

7月21日(日)
9トン水槽の外囲いの修理が行われました。また仮設庁舎換気扇ダクトへの雨水侵入防止工事、発動発電機を設置する台の作成を行いました。(山頂作業日報より)

7月23日(火)
朝から晴天で、雷グループ、大気化学グループ、シーキューブ・グループほか取材・見学者も含めて20人近くの大人数で登山して、ライブカメラの設置、それぞれの装置の設置や、試料採取などの作業を行いました。


 6合目付近(2024年7月23日、村田浩太郎撮影)


 6合目付近の大河内副理事長と早稲田大、東洋大の学生(2024年7月23日、村田浩太郎撮影


 山頂に到着(2024年7月23日、村田浩太郎撮影)
   

 東洋大・反町教授グループによる1号庁舎2階の装置設置(2024年7月23日、村田浩太郎撮影)


 1号庁舎1階のソファーで食事(2024年7月23日、村田浩太郎撮影)

なお、今回は毎日新聞やNHKの取材も行われました。


 測候所入口で取材中の鴨川副理事長、大河内副理事長、加藤理事(2024年7月23日、村田浩太郎撮影)


 3号庁舎西側の装置付近で取材中の大河内副理事長(2024年7月23日、村田浩太郎撮影)

14時30分、大河内副理事長グループと加藤俊吾理事グループ以外は下山を開始しました。


 下山中(2024年7月23日、広報Staff撮影)

幸い降水もなく、17時前には、富士宮口新五合目のオールコックレリーフの写真とともに広報Staffから「無事到着」の一報が入りました。


 新5合目のオールコックのレリーフ(2024年7月23日、広報Staff撮影)

よいお天気に恵まれて、多忙な実り多い一日でした。

2024夏期観測は、「大成建設自然・歴史環境基金」「WNI気象文化創造センター」「Yahoo!基金」他の助成金を受けて開催されています。

(広報委員会)
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海の日の3連休が終わって、まだ悪天候が続きますが、山頂も落ち着きを取り戻しているようです。
7月17日(水)早朝、岩崎山頂班長からチャットが入りました。
「お早う御座います、今朝は久しぶり穏やかな天気です、雲の合間に下界が見えました、下界と言っても赤石山脈の端っこですけど。登山者も少しですが戻ってきましたが馬の背が雨で流されて2本もワジが出来てしまいました。歩きにくそうです。」


 2024年7月17日静岡方面大分雲海が低くなりました(岩崎洋山頂班長撮影)


 2024年7月17日 相模灘方面→南東を見る(岩崎洋山頂班長撮影)


 2024年7月17日 相模灘方面、今朝で7日目の朝、クリアな空にはなりません(岩崎洋山頂班長撮影)


 2024年7月17日(岩崎洋山頂班長撮影)


 2024年7月17日、馬の背すっかり荒れてしまいました(岩崎洋山頂班長撮影)

7月18日(木)
この日、下界では、関東甲信越地方が梅雨明けになりました。岩崎山頂班長からの連絡には、
「今朝は3℃(4時現在)と一寸寒かったです。
久し振りに行列ができましたが、日本語は聞こえませんでした。」
とのことです。




 朝6時、久しぶりに行列ができました(2024年7月18日:岩崎洋山頂班長撮影)


 吊るし雲が出来かけています。風が北寄りなのでいつもとできる場所がちょっと違います
(2024年7月18日:岩崎洋山頂班長撮影)


 「露の干ぬ間」(2024年7月18日:岩崎洋山頂班長撮影)

7月19日(金)山頂はガスの中のようですが、荷揚げは定時に出発。
班長の勤務交代で、岩崎山頂班長が下山、長門敬明班長が登山です。

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 2024年7月12日朝、馬の背(岩崎洋山頂班長撮影)

7月12日 早朝、岩崎洋山頂班長からチャットでメッセージが入りました。気温2.8℃とか。
「お早う御座います。今朝はほんの一瞬視界が利きましたがまた雨になりそうです。」


 2024年7月12日朝、視界が利いたのは一瞬でした(岩崎洋山頂班長撮影)


 2024年7月12日、着任3日目やっと火口とご対面(岩崎洋山頂班長撮影)


 2024年7月12日朝、天気はしばらく期待出来ません(岩崎洋山頂班長撮影)

7月11日には暴風雨の中で奥宮開山祭があり、岩崎班長と大部良輔班員がお神酒を持って参加したとのことです。

なお、先日問い合わせ中のトンボの名前について下記のようなメールを頂きました。

”写真拝見できました。予想通り「ミヤマサナエ」でした。この種は羽化後高い山で夏を超す個体がいて、神奈川でも丹沢山塊などの山頂部で見られます。”
(神奈川県立生命の星・地球博物館苅部治紀様メールより)

7月13日(土)「今朝の気温,2,6℃雲海で高曇り、朝は一寸冷えます。相模灘方面が少し切れていて、初島と大島が見えました。」13日早朝、岩崎洋班長からです。
今週末で、通信関係の設置作業が終わり一段落ですが、風雨が強く辛い外仕事だったとのことです(山頂班作業日報より)


 7月13日 お昼ごろの渋滞(撮影:田中暁山頂班員)

「連休なのと少し天気が良くなったこともあってか、今日の昼頃は久々に頂上渋滞が出来ました。」
夕方、田中暁山頂班員からです。

7月14日(日)3連休の中日でしたが、天気が悪く登山者は少なかったようです。

7月15日(月、海の日)班員交代で大部良輔班員が下山。増本亮班長が再登山です。
15:15-16:55 雷雲接近のため商用電源オフ。発動発電機の運転があり、
関連研究者へのメールが流れました。

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 株式会社 アグネ技術センター ウェブサイトより
 7月号の表紙は水色。富士山と良くマッチしています


昨年11月、アグネ技術センターから本NPOへ雑誌「金属」No.7 特集企画の依頼があり、三浦が編集担当を引き受けました。
雑誌「金属」は、企業の技術管理者,材料研究者,大学,研究所の研究者など,材料にかかわるすべての人のための材料技術情報誌をめざしているとのことで、2022年度, 2023年度の成果報告会の発表者を中心に富士山における大気・火山の観測の最前線の研究をわかりやすく解説していただきました。
本特集は4部で構成され、
第1部「大気を調べる」では健康に影響を与えるオゾンやPM2.5や二酸化硫黄や硝酸化合物などの越境大気汚染物質の監視と近年発見された大気中マイクロプラスティックについて、早稲田大学の大河内博先生に編集をお願いしました。
第2部「気候変動と雲を調べる」では、温暖化効果のある二酸化炭素など温室効果ガスの挙動と冷却効果のあるエアロゾル粒子の挙動、さらに雲生成について三浦が担当しました。
第3部「雷を調べる」では富士山頂で観測される雷と雷放電に伴い高層大気への放電現象について、また近年発見された雷雲から放射される放射線について静岡県立大学の鴨川仁先生に編集をお願いしました。
第4部「防災に役立てる」では富士山の噴火予知について現在、どのような研究が行われているか、東京都立大学の加藤俊吾先生に編集をお願いしました。

以下に目次を記します。

特集「富士山は観測タワー 富士山における大気・火山の観測」
特集にあたって:三浦和彦
《第1部 大気を調べる》
大気中微小粒子に含まれる無機元素の濃度と発生源:米持真一
富士山頂における水溶性酸性ガスの自動化分析:竹内政樹
富士山頂での大気中の一酸化炭素,オゾン,二酸化硫黄濃度の測定:加藤俊吾
富士山頂の窒素酸化物:和田龍一
富士山頂で PM2.5,雲,雪からマイクロプラスチックを発見!:大河内 博
《第2部 気候変動と雲を調べる》
富士山頂の大気中二酸化炭素濃度の長期モニタリング 寺尾有希夫
富士山頂・山麓におけるエアロゾルの長期モニタリング:三浦和彦
富士山麓における雲滴ドローン採取による雲の特性評価 南齋勉
山頂大気中の氷晶核―鉱物ダストとバイオエアロゾル― 村田浩太郎
《第3部 雷を調べる》
富士山頂を活用した雷研究 鴨川仁
雷雲と宇宙の間で起こる放電発光を富士山頂から俯瞰する 鈴木智幸
富士山測候所の雷対策 安本勝
《第4部 防災に役立てる》
富士山での火山ガスモニタリングシステムの開発 加藤俊吾
噴火予知における地磁気観測の役割 長尾年恭
富士山直下で発生する低周波地震 楠城一嘉
このような雑誌の特集企画は2016年8月1日発行の理大科学フォーラム以来、8年ぶりです。

「山岳大気の研究」:三浦和彦
「富士山頂でCO2の測定」:野村渉平・向井人史
「山岳オゾン,一酸化炭素の測定 -富士山など-」:加藤俊吾
「山岳における大気中水銀の観測から長距離越境輸送を解明する」:永淵修
「富士山頂におけるラドンの観測」:永野勝裕
「山岳域におけるエアロゾルの化学分析」:大河内博
「山岳域におけるエアロゾルの物理計測」:三浦和彦
「山岳域における大気電気の観測」:鴨川仁

目次を比較すると、継続されているテーマもありますが、広い分野で富士山測候所が利用され、発展していることがわかります。

認定NPO法人富士山測候所を活用する会 理事長
三浦和彦



※ 雑誌「金属」No.7において誤った記載がありました。
この場を借りて訂正してお詫び申し上げます。
誤:高所科学研究会(代表 五十嵐康人,当時気象研究所)
正:富士山高所科学研究会(代表 浅野勝己・土器屋由紀子)




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