
3月9日の本NPO成果報告会に参加されたNPO法人CSW(クライメイト・ウォッチ・スクエア)の林陽生先生のお誘いで、3月16日のオンライ勉強会に参加しました。
講演はの泉耕二CWS副理事長で、参加者16数名のこじんまりした日曜日の夜の勉強会で、本NPOからも、山梨県富士山科学研究所の亀谷伸子研究員、青山シビルエンジニヤリング(株)気象コンサルティング部・小柳津由依さん、ネパール工科大学・桐原悦雄客員教授と、本NPOの土器屋由紀子理事の4名が参加しました。
泉先生の講演はタイトルが示すように多岐にわたります。先ず、「航空機事故」については1966年のBOAC機事故に関する気象学的解析でした。
この事故は1966(昭和41)年3月5日、BOAC機が、乗客サービスのため手動で富士山頂付近を運転中に乱気流に巻き込まれ、空中分解して遭難、太郎坊付近にバラバラに墜落炎上し、124名の乗客乗員が犠牲になったものです。

泉耕二先生の講演スライドより
精緻な解析の内容は是非、泉先生の論文(参考文献1)をご覧下さい。
なお、講演で使われたスライドに、以前こちらのブログでもご紹介した山本三郎氏の著書が重要な資料として紹介されていました。この本は、気象庁の富士山測候所時代の職員のバイブルであっただけでなく、今でも読まれていることに感動しました。

泉耕二先生の講演スライドより
「登山ルートと遭難」では、登山ルートに「夏道」と「冬道」があり、それぞれの地質学的特徴、気象学的特徴などが示されて、また、水槽実験、風洞実験などの情報もありました。
植物の形状から、風の影響を推定したりする手法も非常に興味深いものでした。
小柳津さんからの質問「イマフジ。では現在、富士山周辺11地点で気象観測を行っていますが、今後新たに新たに山頂および各登山道に気象観測装置を設置する場合、夏期登山者にとって有益となる設置場所についてご意見をいただけるでしょうか」
にたいして、泉先生と林先生から
「別途、検討する機会を設けましょう」との回答がありました。
「大沢崩れ」については時間切れになってしまいましたが、今後の楽しみにしたいと思います。
以上、ごく簡単に勉強会をご紹介しましたが、
このような小人数で、自由に質問を交換できる集まりがあることを知り、
本NPOでも、今後、参考にさせて頂ければと思いました。
参考文献
1.Kouji Izumi and Yousei Hayashi, The air flow around an islated mountain, International symposium on scale modeling, the Japan Society of mechanical engineering, July 18-22,1988
2.泉耕二、山岳の滑落、「風の辞典」(丸善)
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