太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2025年04月

4月19日(土)は地図の日とのことです。
朝日新聞「天声人語」によると
「・・・・国土地理院が今月、全国の三角点や水準点の標高データを一新した。地震などで生じた値のズレを、これまでは10年以上もかけて地表で尺取虫のように測量を繰り返すことで補正してきたが、衛星を使ったやり方に改めたからだ、このため
富士山の三角点の標高は 3775m51cmから56cmに。ちょっとだけ高くなった。・・・・」
4月19日朝日新聞「天声人語」より
そうです。

記事は伊能忠敬の測定に始まり、その正確さに言及していますが、
本ブログでも以前、伊能忠敬の富士山をご紹介したことがあります。 

2018年に伊能忠敬研究会事務局の戸村茂昭様から教えていただき、
測定法を含めて伊能忠敬の「富士山の測量」について解説しました。
詳しくは2018年06月15日のブログを御覧ください。


 伊能忠敬による富士山図(戸村茂昭様提供)

天声人語には、5cmの増加を「なぜだか嬉しい」と書かれていますが、本当に嬉しいですね。

これで「@npofuji3776.org」のドメインを使う本NPOとしても当分安心です。

もし5cm減少していたら・・・3775m46cm で四捨五入すると 3775mになってしまいます。
本NPOのドメインを含めて、ちょっと嬉しい春のニュースです。

(広報委員会)
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2025年3月下旬、NPO法人富士山測候所を活用する会の副理事長であり、静岡県立大学グローバル地域センター自然災害研究部門の鴨川仁特任教授が、米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz, UCSC)を訪問しました。今回の訪問は、UCSCの物理学科教授であり、雷などに伴う高エネルギー現象の世界的研究者であるDavid M. Smith教授との共同研究体制をさらに深化させるために行われたものです。


 UCSCは緑豊かなキャンパス。リスや鳥がたくさん。

両教授の交流は、これまでにも富士山頂における雷起因の高エネルギー放射線観測に関する国際共同研究として実績を重ねてきました。2023年度の夏期観測でも、共同で設置された観測機器が重要な成果を挙げており、関連する成果の速報はすでに2023年度の成果報告会でも公表されています。
第17回成果報告会予稿集「なんと雷のリーダーからX線が!富士山頂ならではの雷起源放射線計測

今回の訪問では、まずこれまでの観測データをもとにした論文化の方向性について、Smith教授の研究グループと詳細な議論が行われました。富士山という特殊な環境下で取得された高エネルギー粒子の発生と雷活動の相関を扱うこれらのデータは、今後の雷研究に大きな知見を与えるものと期待されています。

また、2025年度の夏期富士山観測に向けた準備も今回の訪問の重要な目的の一つでした。Smith教授の研究室で開発された新しい高時間分解能の放射線測定器を鴨川特任教授が受け取り、日本への搬送と設置準備を進めることになりました。この装置は、雷活動時に発生する高エネルギーX線やガンマ線の詳細な時間構造を捉えることが可能で、2025年夏の観測において大きな役割を果たすことが期待されます。


 連日研究室メンバーも含めて議論

UCSCの美しいキャンパスと先進的な研究設備のもとで進められた今回の交流は、今後の国際共同観測と論文化に向けた確かな一歩となりました。なお、両者のこれまでの関係や富士山頂での測定の様子は、以下のブログでも紹介されています。
オフィシャルブログ太郎坊のそよ風「アメリカ地球物理学連合での発表に向けて」 


 復路の空港までは、カリフォルニアの海岸線を2人で移動

2025年夏、再び富士山頂に設置される観測機器が、どのような新たな知見をもたらすのか…その成果にご期待ください。

(広報委員会)
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2025年4月1日、静岡市清水区のコミュニティFM局「エフエムしみず(マリンパル)」は、FM静岡(旧FM-Hi!)と合併し、新たに「S-wave」として再出発しました。清水のまちに寄り添い、暮らしと人の声をつないできたマリンパル。
その28年にわたる歩みの中で、私たちNPO法人富士山測候所を活用する会は「ザ・サイエンス!科学で身を守る〜10分で学ぶ防災講座〜」というコーナーで幾度となく紹介していただきました。

本コーナーは、毎週木曜日、マリンパルほっとライン内で放送され、鴨川仁副理事長が地震や雷、雹、火山噴火など多様な自然災害について解説を行いました。科学を暮らしの中に取り入れ、防災・減災の視点を市民に届ける番組となっています。マリンパルのYouTubeチャンネルではこれらの放送がアーカイブとして公開され、多くの方に何度でも聞いていただけるようになっています。 



我々にとって忘れられないのは、2024年8月での放送。富士山頂からの生中継で、鴨川仁副理事長と村田浩太郎理事が「ザ・サイエンス」コーナーにZoomで出演し、夏期観測の真っただ中にあった富士山測候所の今を、標高3776mからリアルタイムで伝えました。
パーソナリティの夏木かおりさんがしみずのスタジオから温かくトークを進行し、まさに“空と地上がつながる”感動的なひとときとなりました。これらの放送の様子は、2024年10月4日の本ブログでもご紹介しています。 

マリンパル最後の放送は、3月26日にフェアウェルパーティー会場からのライブ配信となりました。


 最終放送はフェアウェルパーティー上で行いました。静大能見教授が挨拶。

パーソナリティーや出演者が勢ぞろいしたこのパーティーには、夏木かおりさんの番組『WEEKEND WAVE』内のコーナー『COSMIC LOVE』に出演している静岡県天文研究会の会長・岡野幸次さんも参加されていました。岡野さんは『COSMIC LOVE』で天文現象の解説を担当されており、国際宇宙ステーションの撮影も日々なさっています。岡野さんは我々の山頂活動時にも富士山とISSを一緒に撮影したいと言ってくださいました。


Cosmic Loveの出演者でもある2人は今後、富士山とISS撮影のコラボレーションを目指します。

マリンパルが築いてきた「聴く地域メディア」としての在り方は、ただ情報を届けるだけでなく、人と人、人と自然、過去と未来をつなぐ“声の架け橋”でした。番組を通じて語られる市民の声、パーソナリティの温かさ、そして何よりも地域とともに歩もうとするその姿勢に、私たちは何度も励まされてきました。
だからこそ、マリンパルの名前が消えてしまうことには大きな寂しさを感じます。しかし、それは決して終わりではなく、S-waveという新たなかたちで、その精神が引き継がれていくことを、私たちは信じています。


 富士山の見えるスタジオでいつも収録

マリンパルの皆さま、そして夏木かおりさん、本当にありがとうございました。S-waveとしてのこれからの活躍に、私たちは富士山のふもとから、心からのエールを送ります。

(広報委員会)
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先週、取材のために本NPO事務所に来られた『ようこそ!富士山測候所へ』の著者の長谷川敦様が提供されたうれしい話題です。

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近畿大学附属広島中学校東広島校の後期入試の入試問題(国語の第2問)には『ようこそ!富士山測候所へ』の一部が、長文読解の問題で使われています。 

採用されたのは第7章「富士山の空でマイクロプラスチックを発見! 大河内博先生」の部分です。この章の中の以下の部分が出題されました。

「現在、東南アジアでは多くの国々で経済発展が進み、プラスチックの使用量も増えています。(中略)地球環境を守るアースドクターとして、マイクロプラスチックのナゾを解明するために、大河内先生にはやらなくてはいけないことがたくさんあります。」

(『ようこそ!富士山測候所へ』p142,3行目~p150, この章の終わりまで)

受験生たちはこの文章を読み、マイクロプラスチック研究の重要性と大河内副理事長の研究活動について理解を深める問題に取り組みました。

大河内副理事長は
「驚きました!!試験問題にしていただけるなんて大変光栄なことです。個人を試験問題にするのははじめてみました。中にはなかなか難しい問題もありましたね・・・」とのこと。

なお、前期入試の問題については9月以降、当中学校のウェブサイトで公開されるとのことですが、後期入試については公開の予定はないとのことです。・・・ちょっと残念な気もしますが、どんな問題だったか想像しみるのも楽しいかもしれないですね。

桜の開花のなか、多くの学校での入学式がニュースになっていますが、この栄えある入学式に出席している新中学生の中の何人かが、大河内副理事長が富士山測候所で行っているマイクロプラスチック研究の文章を、精読して正しく解答した人たちだと思うとなにか嬉しいですね。この問題を解いた生徒さんたちが、将来、富士山測候所を使っての研究者が出来るように、富士山頂の施設を研究施設として維持し続けたいと改めて思います。

付記:なお、近畿大学附属広島中学校東広島校の入試問題として『ようこそ!富士山測候所へ』が採用されたことを当ブログで紹介することについては、著者の長谷川様を通して学校側の了承を得ています。

(広報委員会)

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高校生スプライト研究会:未知なる空の探求者たち

雷雲の上空で一瞬だけ輝く神秘的な光「スプライト」。この高高度放電発光現象を研究する全国の高校生と研究者が集う「高高度放電発光現象研究会」が、2025年3月8日~9日に静岡県総合研修所もくせい会館で開催されました。





スプライトは雷雲の上空40~90kmの高度で発生する一時的な発光現象です。1920年に予言されながらも、実際に確認されたのは1989年と比較的最近のこと。肉眼では捉えにくく、高感度カメラや特殊な観測機器が必要なため、神秘的な現象として研究が続いています。

 NHKスペシャル 宇宙の渚より
今回の研究会開催には、本NPO副理事長の静岡県立大学グローバル地域センターの鴨川仁特任教授が深く関わっています。その関係で研究会と富士山頂での観測活動が連携しています。富士山頂は標高3,776mという高さと雲海の上にあるという立地から、スプライト観測に最適な場所です。この研究会を経験した高校生の中には、大学進学時も富士山頂での観測研究に参加するケースもあります。

高校生と研究者の連携

研究会は高知工科大学の山本真行教授の呼びかけにより2006年に始まり、約20年の歴史があります。全国のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている高校の生徒たちが、各地での観測データを持ち寄り、研究者の指導を受けながら分析を行います。

高校生たちの「多点観測」によって得られるデータは、研究者にとっても貴重な資料になっています。これまでの研究成果は日本地球惑星科学連合年次大会での受賞や、NHKスペシャル『宇宙の渚』での紹介など、広く認められています。

今回の研究会の様子は、令和7年3月9日付の静岡新聞朝刊に「全国の高校生と大学研究者集う」という見出しで掲載されました。磐田南高校地学部の生徒の発表の様子や研究会の意義が紹介されています。

令和7年3月9日付の静岡新聞朝刊より
また、3月13日放送NHK静岡の情報番組「たっぷり静岡」の気象コーナーでも、キャスターの伊藤麻衣さんがこの研究会について取り上げ、神秘的な発光現象をわかりやすく視聴者に紹介しました。





 NHK静岡「たっぷり静岡」より

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