太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

カテゴリ: 夏期観測

~研究の最前線、今年も富士山から~
2025年3月9日、第18回成果報告会が開催されました。
今年も多くの研究者や関係者が集まり、富士山測候所や山麓・太郎坊を活用した最新の研究成果が報告されました。気象、大気汚染、地質、高所医学、微生物など、さまざまな分野での貴重な発表がありました。

開催概要
● 日程:2025年3月9日(日)
● 場所:連合会館 + オンライン(ハイブリッド開催)
● 主催:認定NPO法人富士山測候所を活用する会
● 後援:静岡県
      山梨県
      一般財団法人WNI気象文化創造センター
      一般財団法人新技術振興渡辺記念会
      Yahoo!基金
      公益財団法人ふじのくに未来財団
● 参加者:研究者、環境団体、学生、一般の方々など63名

セッションハイライト
報告会では、富士山測候所や山麓・太郎坊のユニークな環境を活かした研究が発表されました。
セッションごとに簡単にご紹介します。

1. 富士山の空と大地の神秘
気象、雷、大気電気に関する富士山頂の空にまつわる現象に関する研究をはじめ、山頂付近の火山噴出物から噴火の詳細な歴史を調べる調査、宇宙線を用いて富士山の中を覗く、というような富士山の大地にまつわる報告が行われました。まさに富士山というユニークな環境をダイレクトに活かし、宇宙や空から大地、過去から現在を股にかけるスケールの大きなセッションとなりました。




2. 極限の環境と生命
 高所である富士山は人である登山者も含めてあらゆる生物にとってある種の極限環境です。その特性を活かし、富士山の極限環境と(広い意味での)生物に関わるセッションとなりました。富士山の過酷で変化に富む気象を把握するための調査や、高所環境での睡眠や血行に関する研究、さらに山頂での強烈な紫外線に耐える微生物やウイルスを探しだす試みや、大気中に浮遊する微生物の調査・研究の話がありました。




3. 見えない空気の世界 〜富士山で探るガスとエアロゾル〜
富士山測候所は標高3,776mという国内唯一の高所観測拠点。その立地を生かし、地球温暖化の原因である温室効果ガスや越境大気汚染の兆候を捉える研究が続けられています。今年は、長期的な二酸化炭素の傾向や、二酸化硫黄や一酸化炭素、オゾンなどのガス成分の動向に加え、雲の発生や成長メカニズムに関する知見が報告されました。さらに、近年注目を集めている大気中マイクロプラスチックが地球規模で広がっていることを示す新たな知見や、大気中浮遊粒子の磁性を解析する新たな取り組みの話もありました。






会場の様子
現地会場は「コロナ禍」以前と比べて久々に盛況な様子で、ときに笑いも起こりつつ穏やかな雰囲気の中で活発な質問や議論がありました。オンライン参加者からもビデオ会話やチャットで質問やコメントが寄せられました。



おわりに
今年の成果報告会では、平年以上に多岐にわたる分野の研究が紹介され、富士山測候所ならびに山麓・太郎坊が自然科学研究や医学研究に果たす役割の特異性や重要性が改めて確認されたと言えます。
来年の報告会では、さらに興味深い研究成果が発表されることでしょう。
日本最高峰から生まれる研究、これからも引き続きご注目下さい!


 現地参加者の集合写真(撮影タイミングが遅れてしまい、全員で撮り損ねてしまいました...)


 終了後の懇親会にて一枚(全員もれなく写す店員さんの技術が素晴らしいです)

講演予稿集のプログラムに記載されている、講演者・共同研究者の並び順は所属ごとに記載しています。予稿本文の方の講演者・共同研究者の記載をご参照いただきますようお願い申し上げます。

(実行委員長 兼 広報委員会)

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第18回成果報告会を下記の日程で開催いたします。
日時:2025年3月9日(日)12時30分(開場12時)~17時(予定)
会場:会場(連合会館)とZoomによるハイブリッド開催
第18回成果報告会の詳細はこちら

成果報告会は、富士山頂や山麓の太郎坊で前年の夏に行われた夏期観測研究内容を一般の皆様に解りやすく報告する場として毎年開催しています。2024年の夏期観測では、68日間に渡って延べ401名の研究者が、32のプロジェクトを実施しました。

当日のプログラムは以下のとおりです。



現在、早稲田大学・大河内理事のプロジェクトにてカンボジアで鋭意観測中の2人の実行委員からメッセージが届きました。


アンコール・トム、バイヨン寺院前での村田実行委員長(左)と王副実行委員長(右)
(撮影:早稲田大学 田丸氏)


村田浩太郎 実行委員長(理事・埼玉県環境科学国際センター)からのメッセージ
「2024年の富士山での研究成果をご報告する場を設けることができ大変嬉しく思います。発表時間は限られておりますが、富士山ならではの研究の重要性や魅力を皆様と共有できれば、これに勝る喜びはありません!」

王一澤 副実行委員長(早稲田大学)からのメッセージ
「非常に多くの発表者が今年の成果報告会に参加してくださることを大変嬉しく思います。皆さんの素晴らしい発表を楽しみにしています。」

当日はこの二人の他に、副実行委員長の加藤俊吾理事も加わり、座長の南齋理事や事務局メンバーと共に運営いたします。
聴講参加をご希望の方は下記の申込みフォームよりお申し込みください。
申込みフォームはこちら
お申し込みいただいた方には予稿集(研究成果をまとめた冊子)を無料で差し上げます。

(広報委員会)
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12月21日(土)に早稲田大学西早稲田キャンパス&オンラインにて、大気科学関係の研究グループでデータ検討会が開催されました。
9大学・研究機関から17名の研究者や学生が発表し、2024年度の山頂および太郎坊観測の速報結果を共有しました。
演題一覧に代えて、発表スライドの表紙一覧と会議中の小さなスクリーンショットをお示しします。



発表後は締めくくりの討論として、NOz、O3、PM2.5、PM1、硝酸塩、硫酸塩、ドローン、雲粒、雲水など、データの相互比較でさらに発展しそうなトピックを中心に議論が行われました。

今後、粒子(エアロゾル)の観測をもう少し充実させたい、という話も出てきて、今後のデータ解析や来年以降の観測に向けた手がかりをつかめた会となりました。

発表と議論の終了後は、高田馬場で忘年会を開きました。

データ検討会には参加できなかったNPOメンバーや先生方も合流し、昭和レトロなお店で色々な情報交換をしながら親睦を深めました。学生の方々も多く参加され、大いに盛り上がった夜となりました。



今回のデータ検討会を経て、練りに練られた研究結果は3月9日開催予定の成果検討会(会場:連合会館とZoom配信)で発表される予定です。
成果検討会はどなたでも参加できます。
参加申込は2月14日を予定しています。
詳細は決まり次第ウェブサイトにてお知らせします。
どうぞ楽しみにお待ちください。
(広報委員会 村田浩太郎)

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また、会員を募集しています。
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12月13日、早朝から太郎坊の点検に向かった三浦理事長からメールが入りました。



少し雲があってもきれいな富士山がみえていました。



太郎坊へのアクセスもいつの間にか枯れ葉の道になっていました。



太郎坊もすっかり初冬の景色です。
並んでいるのは早稲田大学(大河内副理事長グループ)の装置一式です。



電力中央研究所から寄贈された観測用コンテナの内部です。
コンテナ内がとても綺麗でした。どなたが掃除してくださったのでしょう。
どうもありがとうございます。

手前の装置が東京理科大学の粒径分布測定装置です。



青山シビルエンジニヤリング株式会社の大気電場のモニターです。



都立大学(加藤俊吾理事グループ)の二酸化硫黄、一酸化炭素モニター。



NO、NO2、NOxの測定値。



帝京科学大学(和田龍一理事グループ)のNOz測定装置。



右のコンテナの上には東京理科大学のスカイラジオメーターが設置されています。
中央のコンテナには山梨大学のミューオン装置が設置されています。
左のポールには、青山シビルエンジニヤリング株式会社の気象観測装置、大気電場計が設置されています。

11:40〜12:20頃まで太郎坊にいましたが、雲量8程度でした。

帰り道の(昼食後13:30ころ)東名では雨(雪?)パラパラ降っていました。
出かける時は綺麗な富士山だったのですけどね。。。”

寒い季節の、一人での点検作業お疲れ様でした。
(広報委員会)

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 富士山測候所(7月23日撮影)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会は、9月6日(月)富士山測候所の商用電源を切り、11時32分に閉所しました。
18年目の夏期観測となった今年は、68日間の観測期間に401人の研究者が32プロジェクトを実施しました。



本NPOは、気象庁から富士山測候所庁舎の一部を借り受け、毎年7月・8月に公募で選ばれたグループの研究・活用に供し、富士山頂及び太郎坊他において夏期観測を実施しています。


 測候所内の空気を入れ替えています 

2023年に新型コロナ感染症が5類感染症へ移行してから2度目の夏期観測ですが、健康管理上脆弱な山頂の環境では特別な注意が要求されます。万全の感染症対策の下の夏期観測もすでに4年目となり、本年も無事に終了できたことは山頂での健康管理も定着したと言ってよいと思います。


 取材を受ける大河内副理事長(7月23日撮影)

2024年夏期観測の研究・活用テーマは夏期観測特設サイトからご覧になれます。

トピックスとしては、本NPOの富士山環境科学研究センター・長尾年恭シニアリサーチフェローが研究代表者となった初の科学研究費補助金事業「電磁気学的データの高度情報処理を主とした富士山噴火予測制度の向上に関する研究」がスタートしたこと。
また、昨年世界的に注目された大河内博副理事長を中心とした早稲田大学チームのマイクロプラスチックの観測研究に加えて、加藤俊吾理事率いる都立大学チームの火山ガスを含めた微量ガスの連続観測など継続研究、微生物やウィルスなどの多角的な研究などが挙げられます。


 高所医学研究グループによる自律神経機能の測定風景(2024年8月3日、提供:小森孝洋)

特に、コロナ感染症による中断を経て、5年ぶりに高所医学研究部門においても、井出里香理事グループの「富士山における睡眠時無呼吸症候群の評価及び急性高山病、血圧への影響」や自治医科大学小森孝洋教授グループの「高所滞在中の血行動態に自律神経が及ぼす影響についての検討」の研究が行われました。

さらに、亀谷伸子博士グループ(山梨県富士山科学研究所)の「富士山頂における火山噴出物の調査」に関する地質学的な研究も新たに加わり、富士山ならではの立地を利用した研究分野の拡がりが見られるシーズンになり、次年度のさらなる利用拡大につながることが期待されます。


 太郎坊での観測風景(7月23日撮影)

活用部門では、2020年のクラウドファンディングのリターンとして「富士山科学学校(ガイドつき富士山登山とレクチャー受講)」が行われました。


 クラウドファンディングで測候所を訪れた松井様ご夫妻と大河内副理事長(7月23日撮影)

また、青山シビルエンジニヤリング株式会社による「気象の変化による富士登山者の動態調査」も行われ、気象データや山頂のカメラ画像を一般向けに「イマフジ」サイトとして提供する事業も今年から本格稼働しました。


 測候所の屋根に設置された青山シビルエンジニヤリング株式会社の観測機器(7月23日撮影)

2024年度夏期観測プロジェクト一覧はこちらをご覧ください。

青山シビルエンジニヤリング株式会社のカメラで撮影された映像、その他mush(植田めぐみさんのx.com:https://x.com/mushphoto)より集計したご来光アーカイブはこちら

今年度のプロジェクトの一部は、一般財団法人WNI気象文化創造センター、Yahoo!基金、公益信託大成建設自然・歴史環境基金、富士山後世継承事業費補助金からの助成、一般財団法人新技術振興渡辺記念会からの受託を受けました。また、ユビックス株式会社からは、パルスオキシメーターと非接触放射体温計の無償貸与を、2021年から継続して受けています。

個人や団体からも多数の寄付を頂きました。ご支援に改めて感謝申し上げます。

今年の夏期観測で得られた研究成果は、すでにいくつかの学会で発表したものもありますが、本NPOウェブサイト(成果報告会公式ページ)で順次速報するほか、2025年3月開催予定の第18回成果報告会で発表いたします。 


 取材を受ける鴨川副理事長、大河内副理事長、加藤理事(7月23日撮影)

2024年中に取材を受けたテレビ番組についての今後放送スケジュールは、放送日が決まり次第公式ブログ、SNS等でお知らせします。


2024夏期観測は、「大成建設自然・歴史環境基金」「WNI気象文化創造センター」「Yahoo!基金」他の助成金を受けて開催されました。


(広報委員会)
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また、会員を募集しています。
会員特典として、会報誌『芙蓉の新風』(年1回発行)の送付、富士山頂郵便局スタンプ付きの暑中見舞いをお送りするなどの他、ウェブサイトの会員限定ページでは、山頂からのライブカメラ画像のアーカイブをはじめとするコンテンツをご覧いただくことができます。

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