2014年9月27日11時52分、長野県の御嶽山で噴火が発生し、火口付近で登山を楽しんでいた登山者58名が死亡、行方不明者が5名という、日本における戦後最悪の人的被害を出した火山災害が発生しました。
確かに多くの方がお亡くなりになったのですが、あえて申し上げると噴火規模としては実は極めて小さかったのです。たまたま紅葉の時期で好天の土曜日のお昼という、最も登山者が多い時期と時間帯に発生したためにこのような事態となってしまいました。
名古屋大学では、噴火発生の1週間ぐらい前から、御嶽山で微小地震活動が増加している事を把握していましたが、それらの情報を気象庁もうまく使う事ができませんでした。名古屋大学のデータは気象庁にも届いていたのですが、この災害は情報伝達の問題が大きかったと考えています。すぐ出来る事として、例えば御嶽山に限らず各火山の活動を示す火山性地震の数などは気象庁や防災科学技術研究所のウェブサイトだけでなく、やはり登山者が一番確認するであろう観光用のポータルサイトにリンクする事です。またそれに伴い、啓発的なページを整備することが同時に求められます。これは富士山についても、今後統一的なポータルサイトが必要と考える理由です。さらに富士山の場合は複数言語で整備する事も求められるかもしれません。
次の図は当時の名古屋大学のウェブサイトに掲載されていた情報です。
名古屋大学が噴火後にウェブサイトで公表した図。
図中の赤い点が火山性地震の発生場所を示します。
ところが次にお見せするように、気象庁が観測していた火山性地震は名古屋大学が観測した火山性地震の3割ほどの数だったのです。
黒線が名古屋大学が観測した地震数、赤線が気象庁が観測した地震数
図中の赤い点が火山性地震の発生場所を示します。
ところが次にお見せするように、気象庁が観測していた火山性地震は名古屋大学が観測した火山性地震の3割ほどの数だったのです。
黒線が名古屋大学が観測した地震数、赤線が気象庁が観測した地震数
それでは”戦後最大の犠牲者を出した”この2014年の御嶽の噴火の規模はどの程度だったのか、次にお示しします図は17世紀以降の日本の火山噴火のまとめです。実は規模としては2014年の御嶽山噴火は極めて小規模な噴火だったのです。
日本における過去の各世紀ごとの噴火の記録をみますと、巨大噴火が100年あたり1回か2回は発生しています。さらに大噴火も100年あたり数回発生していました。ところが20世紀は巨大噴火、大噴火もそれぞれ1回ずつとかなり火山活動が低調な時期であったのです。また今回は触れませんが、地震活動も戦後の高度経済成長期は特に低調で、この事が日本の成長に実は大きなプラスをもたらしたのです。
(文責:長尾年恭)
お待たせしました。久しぶりに長尾理事投稿ブログです。
これからも続きますので、ご期待ください。
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(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
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富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の
拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究
者が主体となって立ち上げたNPO法人です。
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また富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。
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公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。
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